子どもは数をどのように理解しているのか の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
1991年刊行。小学生の算数(主として計算。文章問題も含む)について、子供たちが行う誤答の方略分析を通じ、小学生の誤答の認知心理学的な側面から誤答の原因を分析しようとするもの。これらの認知心理学的分析は端緒についたばかりという指摘はあるものの、誤りこそ価値を持つという指摘は意義深い。子どもが陥りやすい誤りにも一定の言及があるので、有益な視座がえられるはず。
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・足し算ができる背景には、数唱の発達が関係している。 ・むずかしい教材。―きわめて越しにくいハードルとなって子どもの前に立ちふさがる。多くの場合、子どもはこうした教材でつまずくのである。したがってこうした教材を子どもの理解のあり方に即して教えれば、つまずくかもしれない段階を軽く超...
・足し算ができる背景には、数唱の発達が関係している。 ・むずかしい教材。―きわめて越しにくいハードルとなって子どもの前に立ちふさがる。多くの場合、子どもはこうした教材でつまずくのである。したがってこうした教材を子どもの理解のあり方に即して教えれば、つまずくかもしれない段階を軽く超すことができるはずである。 ・ドリル学習が成功するためには、どのような条件が必要であるか。①問題の科学的な配列。②子どもの能力を正確に把握すること。③能力のレベルを考慮した問題の与え方。④適切なフィードバック。 ・ドリル学習の副次的な効果。5日間のドリル学習を進めるうちに、4クラスの間に他のクラスに負けてなるものかといった雰囲気が生徒全員に共有されだした。このため、朝、担任教室から前日の答案を返してもらうのを首を長くして待つようになり、どの問題を間違えたかを食い入るように見つめていた。実際にドリル学習の時に立ち会った大学生に「とても楽しい、もっとやりたい」と多くの子どもがもちかけていたようである。 この小学校は、宮崎市からおよそ30kmも離れていたのである。ところが、驚いたことに、どこで調べたのか、日曜日になるとこの大学生の下宿先を探して、何人もの児童が彼女のところに遊びに来たのである。これには、担当した大学生もさすがに驚いたようだった。 「あの学年は、あのドリル学習を受けて以来、学習活動全体に積極的な関心をもつようになって、とても素晴らしい学年になりました」
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