証言で綴る20世紀社会主義 の商品レビュー
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1991年刊行。本シリーズは、ソ連を含む東欧の戦後史を簡明に見通せるシリーズとして、個人的には取っ掛かりとしての役割を果たしてくれた。一部は未購入のままだった一つが本著。本著の内容は、東独-ベルリンの壁構築秘話、ハンガリー-ハンガリー動乱、チェコ・スロバキア-プラハの春、ポーランド-ワルシャワ戒厳令と連帯、バルト三国-戦中史、ソ連-KGBの各々を、関係者の証言を通じ紐解いていくものである。実のところそれほど驚くべき記述は見られないものの、政権側だった人物の証言も思いのほか載せられているのは意外ではあった。 本論からは外れるが、結局、冷戦が先の如き帰結になったのは、米ソの持つ購買力、つまり衛星国家が生み出す産物を購入できる力が圧倒的に米の方が大だったからのような気が…。東独と西独の差は、米ソがとれだけ当該国家の産物(特に機械工業品)を購入できたか、多数を購入してもらった西独は新たな設備投資が可能、その好循環の帰結かなあと。つまりは米ソの末端における国力・経済力の差なのかも。
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