法服を脱いでから の商品レビュー
民事24年、刑事10年、司法行政5年の元所長が語る。テニスの話、趣味雑談、京の官舎、語学談義など素顔の裁判官生活。人間味あふれる文章とユーモアで楽しく読ませる。(1991年刊) 著者は、大学卒業後、内務事務官を経て、裁判官となったという。異色の経歴であり、司法の裏話を期待したが...
民事24年、刑事10年、司法行政5年の元所長が語る。テニスの話、趣味雑談、京の官舎、語学談義など素顔の裁判官生活。人間味あふれる文章とユーモアで楽しく読ませる。(1991年刊) 著者は、大学卒業後、内務事務官を経て、裁判官となったという。異色の経歴であり、司法の裏話を期待したが、やや期待外れであった。 白眉は、「初期の家庭裁判所」である。著者によると、家庭裁判所は戦後の日本の司法改革の中で成功した制度の一つであるという。新任判事補の頃の思い出を綴ったこの一文は、黎明期の試行錯誤がうかがえ興味深い。 「裁判を考える」では、裁判というものの役割を自問自答しているが、日照権を例に、「建築法規でカバー出来ない部分について裁判所が民事上の救済を与えればよい」という言葉は、立法と司法のあり方を考えさせられる。 法の支配、人の支配について解説された一文もあり、30年近い昔の本ながら時宜を得た思いがした。
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