私の見聞録 の商品レビュー
この本は1840年代から1850年代半ばの『レ・ミゼラブル』執筆に大きな影響を与えた時期のユゴーを知ることができる作品です。 この本ではレミゼにつながるユゴーの体験がいくつも出てきます。 レミゼが生まれてくる背景やユゴーが当時何に関心を持ち、どのような行動を取っていたかをこの本で...
この本は1840年代から1850年代半ばの『レ・ミゼラブル』執筆に大きな影響を与えた時期のユゴーを知ることができる作品です。 この本ではレミゼにつながるユゴーの体験がいくつも出てきます。 レミゼが生まれてくる背景やユゴーが当時何に関心を持ち、どのような行動を取っていたかをこの本では知ることができます。これはとても興味深かったです。とてもおすすめな一冊です。
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ユゴー先生の手記からの抜粋の抄訳が13本入っている書籍です。 先生のさすがの美しい文章が読みやすく訳されていて、面白い本でした。 編訳の稲垣先生は、ユゴーとサン=テグジュペリがご専門の仏文学者です。 レミゼ本文のフランス語原文・和訳文を抜粋で並べて読める『「レ・ミゼラブル」を...
ユゴー先生の手記からの抜粋の抄訳が13本入っている書籍です。 先生のさすがの美しい文章が読みやすく訳されていて、面白い本でした。 編訳の稲垣先生は、ユゴーとサン=テグジュペリがご専門の仏文学者です。 レミゼ本文のフランス語原文・和訳文を抜粋で並べて読める『「レ・ミゼラブル」を読みなおす』も著されています。 ファンティーヌ逮捕の着想になったユゴー先生の実体験のお話はとても興味深かったんですが、その章の冒頭で書かれているユゴー先生のアルジェリア遠征(侵略)への考え「文明が未開の土地に立ち向かう」は嫌だなあと思いました。 未開と見下して異文化蹂躙を是とする傲慢さに、少し気分が重くなりました。 ノイローゼになりかかっている友人ヴィルマン氏に会いに行く章では、「空の青さを疑っても、あなたの目の前にいる友人の、誠実な心は疑わないでください」「まわりの風にご自身の思いを溶け込ませなさい(=引きこもって鬱々してないで散歩なさい)」など先生の言葉選びが優しく美しかったです。 刑務所視察の章は若い死刑囚の言動の観察も興味深かったですし、古い共同収監の刑務所と新しい個別収監の少年院との対比もふむふむと読みました。M.フーコーの『監獄の誕生』も再読したくなりました。 「死を前にすれば善良な心も悪い心も消え、気取りだけが残る」という先生のご観察からやや話は逸れますが、化粧療法(メイクセラピー)で介護予防やQOL向上が期待できるのは耳にしますし、うつ病など精神疾患の症状の一つが「身なりに気を回せなくなる」なのも、「気取り」が精神に大きく関与しているからこそかなと思いました。 第二帝政期の亡命先での「ユベール事件」は煮詰まってヒートアップしていく群衆の怖さが克明に記録されていて、ぞわぞわしました。 スパイであることがバレたユベールさんは事件当時50がらみでバリケードでの警部殿より少し年下くらいなので、つい重ねて読んでしまいました。
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