銀河鉄道の夜 の商品レビュー
何人かの私の本棚のフォロワーの方には話したことですが、今年は宮沢賢治生誕120年、また銀河鉄道の夜を書いてから100年の節目の年に当たります。 私も盛岡の大学で、啄木と賢治を学び、そのまま12年も盛岡に居ずいてしまいました。 私はどちらかと言えば、啄木に重きを置いて、研究の端くれ...
何人かの私の本棚のフォロワーの方には話したことですが、今年は宮沢賢治生誕120年、また銀河鉄道の夜を書いてから100年の節目の年に当たります。 私も盛岡の大学で、啄木と賢治を学び、そのまま12年も盛岡に居ずいてしまいました。 私はどちらかと言えば、啄木に重きを置いて、研究の端くれをしていましたが、今年は上記の理由で、どうしても賢治先生(岩手県民は、尊敬の念を込めて、宮沢賢治をこう呼びます)を読みたかったのです。 賢治先生は万能型の天才と今では言われておりますが、文学においては「擬音使いの天才」と言われております。 ドキドキとか、バンバンではなく、突拍子もない言葉で擬音を表現するのです。こちらもぜひご堪能あれ! 今年も残り少なくなってしまいましたが、賢治先生のアニバーサリーイヤーを祝福するようにやってきた彗星を動画で見ながら、賢治先生の作品に触れていただけたら、幸いに思います。
Posted by
宮沢賢治の作品は「やまなし」と「注文の多い料理店」を読んだことがあった。 集英社文庫の『銀河鉄道の夜』に収録されている6篇を読み通してみて、宮沢賢治が「自然」と「生死」と「宗教」という分かちがたく結びついたテーマを小説として著すことで、“ほんとうのしあわせとはなにか”ということを...
宮沢賢治の作品は「やまなし」と「注文の多い料理店」を読んだことがあった。 集英社文庫の『銀河鉄道の夜』に収録されている6篇を読み通してみて、宮沢賢治が「自然」と「生死」と「宗教」という分かちがたく結びついたテーマを小説として著すことで、“ほんとうのしあわせとはなにか”ということを読者に問うているのではないかと感じた。 幻想的で繊細で、ときに厳しく激しい描写は、自然に相対したときの経験から生まれているのだろうと思う。 -- 「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」 「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙がうかんでいました。 「けれどもほんとうのさいわいはいったい何だろう。」ジョバンニがいいました。 ジョバンニはそのカムパネルラはもうあの銀河のはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。
Posted by
とても久しぶりに宮沢賢治の作品を読みました。自然の描写が独特で繊細な印象。この本を通して命の儚さというのを改めて感じました。
Posted by
宮沢賢治の作品は、小学校の国語の教科書に載っている『雪わたり』『やまなし』や『雨ニモマケズ』くらいしか知りませんでした。 本書には、著者の代表的作品が6編収録されています。たまには文学を読んでみようと手に取ったものの…難解でした。 読むのは速い方だと思っていましたが、読み慣れ...
宮沢賢治の作品は、小学校の国語の教科書に載っている『雪わたり』『やまなし』や『雨ニモマケズ』くらいしか知りませんでした。 本書には、著者の代表的作品が6編収録されています。たまには文学を読んでみようと手に取ったものの…難解でした。 読むのは速い方だと思っていましたが、読み慣れない言葉や漢字が多く、巻末の語注を頼りに読んだので、とても時間がかかりました。 生と死について描かれている作品が多いのは、実の妹の死が関わっていると、解説で述べられていました。文字を追うのに精一杯だったので、解説がありがたかったです。宮沢賢治が人間としても魅力的な人物であったことがよくわかりました。 宮沢賢治の世界観を捉えきれたわけではないですが、自分なりに情景をイメージするのはとても新鮮でした。 他の文学にもふれてみようと思います。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
銀河鉄道の夜 名作と呼ばれるので読んでみました。 宮沢賢治はイーハトーブという岩手をモチーフにした架空の世界で物語を描いていると国語の授業で習ったくらいの知識しかありませんでした。 本作がイーハトーブとどれほど関連しているかは分かりませんが、かなり難解でした。 現実→幻想→現実と話は進んでいきます。 主人公ジョバンニが貧しい生活を耐えているからこそ、 幻想である銀河鉄道の旅のパートがより色鮮やかに受け取れました。 しかし、文字という媒体で銀河鉄道の鮮やかさを想像するにも現代に生きる私たちにとっては今ひとつ難しいと思いました。 現代人の意見ですが、是非とも映像で見たいと思いました。 幻想→現実に戻るところで、 一般的なストーリーでは夢オチという形骸化された言葉があるように、虚しさを主人公も読者も若干の虚しさを抱えて終わるパターンが多い。 しかし、本作は友人の死が待ち受けており意表を突かれました。 あまりにも悲しいと最初は思いましたが、時間を経て考え直すと、幻想はある種の明晰夢のようなものであったのではないかと考えました。銀河鉄道=死への道筋のようなアイロニーが考えられますが、あまり深く考えすぎても良くないので、曖昧にそんな感じだと思っておきます。
Posted by
映画『怪物』に感動したので、関連があると噂の『銀河鉄道の夜』を読んだ。「よだかの星」が一番好きだった。理解しきれていない部分があるので、時間をおいて再読したい。
Posted by
いつも最後は鳥肌。そして、綺麗に終わらないのが怖い。 死生観っていうのが存分に詰まっている。 それであって、描写は美しく、夢の中に飛ばされている。 『銀河鉄道の夜』は少し難しかった。自分の勉強不足です。
Posted by
どの作品も美しい言葉で書かれています。 銀河という果てしない世界から見た際に地球なんてとてもちっぽけなもの、けれどその地球で一日一日、一瞬一瞬を精一杯生きる人間のたくましさであったり、誰かのために生きる人、または生きた人など命の美しさを感じることができる作品でした。 宮沢賢治...
どの作品も美しい言葉で書かれています。 銀河という果てしない世界から見た際に地球なんてとてもちっぽけなもの、けれどその地球で一日一日、一瞬一瞬を精一杯生きる人間のたくましさであったり、誰かのために生きる人、または生きた人など命の美しさを感じることができる作品でした。 宮沢賢治さんの独特の雰囲気…切ないような寂しいような、それでいて暖かくなるようなそんな話がもりだくさんでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大人になって銀河鉄道の夜を見返したが、ジョバンニの夢の情景が非常に見事で、宮沢賢治の描く綺麗な透明感のある世界に引き込まれていきました。 様々な解釈がある小説であり、色んな所に伏線があるので、読むたびに違った一面を見せてくれるのではないかと思います。 また、『やまなし』の独特な世界も面白く、この歳になって宮沢賢治ワールドに魅了されました。
Posted by
久しぶりに再読。以前は「銀河鉄道の夜」しか読まなかったが、今回は通して読んだ。 「ひかりの素足」が怖い。 地獄のような足に棘が刺さるつらい道を、子供達が泣きながら歩き続ける様子は、発想力が化け物。 風の又三郎が弟にだけ見える死神のように描かれるので、その次の章の「風の又三郎」の話...
久しぶりに再読。以前は「銀河鉄道の夜」しか読まなかったが、今回は通して読んだ。 「ひかりの素足」が怖い。 地獄のような足に棘が刺さるつらい道を、子供達が泣きながら歩き続ける様子は、発想力が化け物。 風の又三郎が弟にだけ見える死神のように描かれるので、その次の章の「風の又三郎」の話も不気味さが残ってしまったね。 父親も送りを頼まれた人も、子供たちだけで雪山を先に行かせたら駄目でしょう、と思う。 「銀河鉄道の夜」は大人になって読むと、夜の電車の暗い中、外の風景の輝きが流れていく雰囲気が思い出される作品だと感じた。
Posted by