山男にみる生き方の研究 の商品レビュー
「アル・アルヴァレズ」がイギリスの登山家「モー・アントワーヌ(本名:ジュリアン・アントワーヌ)」の生き様について紹介した作品『山男にみる生き方の研究―あるクライマーの肖像(原題:Feeding The Rat Of a Climber)』を読みました。 「瓜生卓造」の山岳小説『...
「アル・アルヴァレズ」がイギリスの登山家「モー・アントワーヌ(本名:ジュリアン・アントワーヌ)」の生き様について紹介した作品『山男にみる生き方の研究―あるクライマーの肖像(原題:Feeding The Rat Of a Climber)』を読みました。 「瓜生卓造」の山岳小説『大岩壁』に続き、山岳関係の作品です。 -----story------------- ただひたすら山に登り読けるのもまた人生である―。 価値観の多様化した現代、山男「モー(本名:ジュリアン・アントワーヌ)」の肩肘はらぬ生活信条のなかに失われつつある人間本来の生き方を探る。 ----------------------- 原題を直訳すると『ねずみに餌をやる―ある山男のプロフィール』になるらしいのですが、、、 現代では見失われたり、忘れられている人間本来の生き方が暗示されており、単なる登山の本ではなく、人間の生き方の研究であり、なんらかの形で生活の知恵や技術を汲み取る読者も少なくないと思われる… ことから、あえて訳者は『山男にみる生き方の研究―あるクライマーの肖像』というタイトルにしたとのことです。 ■1 ランベリス ■2 ドロミティ ■3 エピック ■4 テイン・イ・フイノン ■5 ロライマへの道 ■6 ねずみに餌をやる ■7 快感原則 ■8 スノードン・モールディングズ ■9 ザ・ミッション ■10 ホイの老人 ■11 エベレスト ■訳者あとがき 井上謙治 訳者の言葉にもあるように、、、 登山の本としても、勿論、愉しめるのですが… 人生を愉しむための生き方を学ぶことのできる本でもありましたね。 『大岩壁』を読んで感じた違和感… 初登攀を争う、スポーツ競技のような登山というのは、どうも感覚が合わないんですよね、、、 そんなズレがないなぁ… と感じたのが、本書での「モー・アントワーヌ」の生き方や言葉でした。 登山は楽しみであり、自分との闘いだということ、そして、頂上に達することだけが重要ではないと説く、以下の言葉が印象的でした、、、 「山登りはスポーツなんかではないのだ。 気晴らしだよとモーは言う。 山登りには楽しみがある。 スポーツには、当然、競争が含まれている。 山登りでは、競争相手は自分しかいないのだ」 「わたしは頂上に達することがそこまで重要だとは思いません。 (中略) 忘れてはならないのは頂上に立つことではなく、 途中でどういうことがあったか、 ということなのです。 一番気分がいいのは自分が他の者を頼りにしているし、 他の者が絶対に自分を頼りにしているということを知ることなのです」 イイ言葉ですねぇ… こんな絶壁には登れませんが、、、 それなりのレベルで、自分と闘いつつ、それなりに愉しめる登山を嗜みたいと思います。
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