生活綴方教育史の研究 の商品レビュー
1930年代に「生活綴方」という教育法が広く実践された。国語という教科の枠内で書くこと「を」教えるのではなく、むしろ教科の枠を超え、書くこと「によって」子供が現実の生活を把握し、改善する力を鍛えようという実践だ。本書は、その生活綴方教育史を1920年代から40年前後まで、その運動...
1930年代に「生活綴方」という教育法が広く実践された。国語という教科の枠内で書くこと「を」教えるのではなく、むしろ教科の枠を超え、書くこと「によって」子供が現実の生活を把握し、改善する力を鍛えようという実践だ。本書は、その生活綴方教育史を1920年代から40年前後まで、その運動の主流にあった人物や雑誌から記述する研究書。 主に扱われているのは『綴方生活』(1929年創刊)の編集に関わり「調べる綴方」の先駆的実践を行った峰地光重、同じく後に同誌の主宰になっていく小砂丘忠義、『教育・国語教育』(1931年創刊)の主宰で綴方教師の組織化を進めていった千葉春雄、詩人でもあり『綴方学校』(1935年創刊、当初は『工程』)の主宰だった百田宗治ら。活発に活動していた彼らとその雑誌が、1937年の日中戦争勃発を機会に縮小・統合・廃刊を余儀なくされていくまでの様子が描かれている。論文集なのでストーリーとしてわかりやすくはないけれども、戦前の生活綴方教育の概要はこれでとらえられると思う。
Posted by
- 1