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虞美人草 の商品レビュー

3.7

24件のお客様レビュー

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青山真治監督の「シェ…

青山真治監督の「シェイディーグローブ」は、この作品を下敷きに作られているそうです。映画と合わせてどうぞ。

文庫OFF

登場人物の関係が全て…

登場人物の関係が全て説明されて、彼らがゆっくりと動いている間は淡々と読みました。相関と動きは面白いのです。でもところどころに入る冗長な地の文が、個人的に興味がある内容だったり無い内容だったりムラがあったためにのめりこむことが出来ずにいたのです。でも後半が! 流石というか物凄い。展...

登場人物の関係が全て説明されて、彼らがゆっくりと動いている間は淡々と読みました。相関と動きは面白いのです。でもところどころに入る冗長な地の文が、個人的に興味がある内容だったり無い内容だったりムラがあったためにのめりこむことが出来ずにいたのです。でも後半が! 流石というか物凄い。展開の速さ、上手さ、面白さに舌を巻きました。勧善懲悪めいていることを初めとして、リアルさなどを考えたらツッコミどころはあるのかもしれません。でも私は後半の登場人物たちの「真面目」さ、正直さが好きです。

文庫OFF

漱石の初期の作品の特…

漱石の初期の作品の特色の1つである豪華絢爛な美文が連なり、やや読みにくいところも。しかし展開は起伏があり、読者を引き寄せる。底辺にある作者の人生観が強く感じられる。

文庫OFF

作者が、最も文章に力…

作者が、最も文章に力をいれた作品。確かに文体は綺麗ですが、いかんせん私小説。最後まで特に見せ場もなく、唖然の結末。後味が悪かったです。

文庫OFF

2024/04/26

前置きが長くて、メインの話が何か分かるのにかなり時間がかかりました。夏目先生の作品は男同士のやり取りが多いイメージがあったので、女同士の駆け引きを見られたのは少し新鮮でした。

Posted byブクログ

2024/03/18

中盤こえるくらいまでやたらと難しい言い回しがくどくどと続く印象。漢籍や西洋の書籍からの引用が多いとかそういう話ではない。解説で、正宗白鳥は今作を批判したと読んだが、わからんでもない。 しかし終盤になると俄かに展開が速まり、筋に重きを置いたからなのか、格段と読みやすくなった。小野さ...

中盤こえるくらいまでやたらと難しい言い回しがくどくどと続く印象。漢籍や西洋の書籍からの引用が多いとかそういう話ではない。解説で、正宗白鳥は今作を批判したと読んだが、わからんでもない。 しかし終盤になると俄かに展開が速まり、筋に重きを置いたからなのか、格段と読みやすくなった。小野さんが突如として「真面目」になったのには少し狐に摘まれた感じがしたが、宗近一の言葉はなるほど人を動かす熱さがある。思わずじんと来た。 これまでに漱石の作品は『吾輩は猫である』『坊っちゃん草枕』『彼岸過迄』『こゝろ』『明暗』を読んだが、どれもそれぞれに特徴があっておもしろい。向田邦子の文章も好きだが、あの人のは反対にどれを読んでも変わり映えしないので、その対比からなおさら作品によって表情の違うのが面白く感じた。 解説によると、正宗白鳥は今作を説教くさいというような趣旨で批判したらしい。正宗白鳥の作品は『入江のほとり』を岩波文庫で読んだくらいだが、割と好き。しかし正宗白鳥が批判する今作も別の味があってよい。どの作家も同じ文章書き始めたら世も末。あまんきみこじゃないが、みんな違ってみんないい。 莫邪路と干将路というのが蘇州市内にあり、どっかの将軍(干将)と悪玉の親分(莫邪)の故事でも引いているのかと当時思っていたが、なるほど干将は剣匠でその妻が莫邪というのかと今作の註釈を読んではじめて知った。

Posted byブクログ

2022/05/28

地の文が文語調で現代人には少々読みにくい。それでもものすごい美文だと思うが、なぜそう思うかは説明しにくい(笑) 解説によると漱石は本作の文章を書くにあたり、何度も「文選」を読んだらしいが、たとえ私が「文選」を読んでも、私にはとてもこんな文章は書けない(当たり前か) お話自体は...

地の文が文語調で現代人には少々読みにくい。それでもものすごい美文だと思うが、なぜそう思うかは説明しにくい(笑) 解説によると漱石は本作の文章を書くにあたり、何度も「文選」を読んだらしいが、たとえ私が「文選」を読んでも、私にはとてもこんな文章は書けない(当たり前か) お話自体は今でもありそうな結婚をめぐる三角四角関係を描いており、テーマ自体は全く古びてはいない。小野みたいな男はゴロゴロいると思うし、藤野とその母みたいな親子もいそうである。私自身は藤野の腹違いの兄の甲野に惹かれる。何のなく似ているところがあるような気がする。 今でも感情移入して読めるのは、いい小説は古くならないという証左であろうか。

Posted byブクログ

2021/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

表現が難しくて理解できないところも多いけれど、 不思議と美しい文章だと感じられる。 調べながらだと読み進められないので、 なんとなくで読み進めて3回読みました。 人間関係の構図はわかりやすく、 心情や状況の描写に集中できる。 自分のために、他人を犠牲にして生きるな。 知識だけではなく、情をもて。 そう言われているような気がした。

Posted byブクログ

2018/11/17

夏目漱石が教職を辞して職業作家として執筆した第一作目の作品。 漱石は教職の傍らに発表した作品、「吾輩は猫である」、「坊ちゃん」、「草枕」、「野分」ですでに文名が大いに上がっており、大学の講義ノートを作ることが苦痛であることを漏らしていた時期、白仁三郎(後の坂元雪鳥)の仲介から朝日...

夏目漱石が教職を辞して職業作家として執筆した第一作目の作品。 漱石は教職の傍らに発表した作品、「吾輩は猫である」、「坊ちゃん」、「草枕」、「野分」ですでに文名が大いに上がっており、大学の講義ノートを作ることが苦痛であることを漏らしていた時期、白仁三郎(後の坂元雪鳥)の仲介から朝日新聞社に入社しました。 当時の新聞社は今で言うベンチャー企業のようなもので、不惑を過ぎた数えで41歳の漱石には、その転職は冒険だったと思います。 また、部数も影響力も今と比較してそれほどないとはいえ、多くの人に目が留まる新聞紙上での連載であること、新聞社から異例の待遇を持って受け入れられていることから、漱石の緊張は想像するに難くなく、その真剣さが作中からも感じられました。 それまでの作品と比較すると構成がしっかりしていてラストに向けてのプロットがあるように思います。 ストーリーは、とある男女の恋愛の縺れを主軸にしたもので、巻末解説の桶谷秀昭氏の言葉を借りるならば中世から連綿と続く勧善懲悪の文学イデオロギーに即したお話になっています。 メインとなる人物が6名登場します。各々の関係を箇条書きに書くと以下の通り。  甲野欽吾:  神経衰弱により療養中の男性で、物語は彼とその友人の宗近一の京都遊行のシーンから始まります。  継母と妹の藤尾と住んでおり、財産を全て藤尾に譲ろうと考えています。    甲野藤尾:  欽吾の腹違いの妹で虚栄心が強く、美貌の女性。  藤尾の父が生前、宗近一に嫁に出すことを発言しているが、別に小野清三という親しい男性がいる。彼の心を誑かしている。    宗近一:  外交官の試験に落第し続けている。外交官となり藤尾と結婚することを望んでいる。  豪放な父と、しっかり物の妹、糸子がいる。    宗近糸子:  しっかりもので何者にも怖気ない性格。  欽吾のことが好きだが、彼を理解しているがゆえに思いを打ち明けずにいる。    小野清三:  欽吾と同窓で、博士論文を執筆している。小夜子という将来を誓った仲がいるが、藤尾に惹かれてしまう。  小夜子の父、井上孤堂は清三の恩師でもある。    井上小夜子:  京都に住んでいるが、清三との縁談をまとめるために父と共に上京する。 ストーリーが進むにつれてこの関係はどん詰まりになってゆきます。 どうにもならない状況へ向けて進み行くストーリーには無駄な場面がなく、迷いなく追い詰められてゆく。 ラストはカタストロフがあるのですが、どうにもハッピーエンドと言い切れないところがあり、面白かったかと問われると、唸らざるを得ないです。 作中の文章は一応口語ですが、文語に近い文体となっていて、少し苦労すると思います。 夏目漱石的な表現が爆発していて、例えば適当に開いた5章は以下の文章から始まります。 「山門を入ること一歩にして、古き世の緑りが、急に左右から肩を襲う。自然石の形状乱れたるを幅一間に行儀よく並べ、錯落と平らかに敷き詰めたる径に落つる足跡は、甲野さんと宗近君の足音だけである。」 要するに、甲野欽吾と宗近一が山門に入ったわけですが、それだけのことにここまで言葉を紡ぐ必要があるのかと、言うまでもなくそうすることでより細やかな情景が伝わるわけですが、万事この調子で続くので、この表現を好むか否かが本書を楽しめるか、ひいては夏目漱石を楽しめるかの分かれ目となると思います。 ただ、読み方さえ心得れば、知らない表現が出ることにより知的好奇心がくすぐられる感じや、言葉遊びに似た会話の軽快さに楽しさを感じると思います。

Posted byブクログ

2017/03/25

すごく面白い。地の文は漢文調で読みにくいけど、それでもぐいぐい読ませる。 虚栄と道義の対立、旧時代と新しい時代の相克、とかなんとかいろいろ読みはあるだろうけど、シンプルに「婚活小説」として読むのがいいと思う。見栄と打算と離層のせめぎ合いの中で、お互い探り合い位置どりする感じが、な...

すごく面白い。地の文は漢文調で読みにくいけど、それでもぐいぐい読ませる。 虚栄と道義の対立、旧時代と新しい時代の相克、とかなんとかいろいろ読みはあるだろうけど、シンプルに「婚活小説」として読むのがいいと思う。見栄と打算と離層のせめぎ合いの中で、お互い探り合い位置どりする感じが、なんとも東京カレンダーのアレ的な下世話さでよい。 漱石ってほんとすごいよなあ。

Posted byブクログ