日本人と戦争 の商品レビュー
大東亜戦争前に来日し…
大東亜戦争前に来日したフランス人ジャーナリストによる、戦時下の日本の様子が自らの体験として語られる。著者は戦時下においてはフランスが中立国的に扱われた事もあって、比較的緩い監視の下での生活が可能だったため、戦時下の日本の生活についても直に観察記録する機会が持てており、戦時下の貴重...
大東亜戦争前に来日したフランス人ジャーナリストによる、戦時下の日本の様子が自らの体験として語られる。著者は戦時下においてはフランスが中立国的に扱われた事もあって、比較的緩い監視の下での生活が可能だったため、戦時下の日本の生活についても直に観察記録する機会が持てており、戦時下の貴重な記録となっている。もっとも、当時の西欧人の持つ人種偏見や自国文化に対する圧倒的優越感がそこかしことにじみ出ていて、不快に感じる人が多いかもしれない。「東京炎上」の章は3月10日の東
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1990年(底本1979年。改訂前1947年)刊。戦前戦中と駐日仏人ジャーナリストによる日本戦時下見聞録。当時の軍部や政治の裏面をも描くので、その点のソースは気になる。逆に、本書には戦後直後に書かれた種本があり、鮮明な記憶に基づく生々しい点も多い。特に空襲と食糧不足、さらに小規模工場での勤労奉仕の実像やこれら工場の再編過程がそれ。なお、日本のアジア占領地に扶植した白人への対抗思想は、日本の撤退戦での「地雷原」(≒植民地解放闘争が結果として日本を援助)という著者の指摘は醒めた見方だが、判らなくはないところ。 中国大陸の国共紛争と共産主義化、朝鮮戦争(まぁ身も蓋もないが、朝鮮半島での内乱)、インドシナ解放やインド独立による英仏のアジアからの撤退は、敗戦国日本への欧米諸国の進駐を妨げ、良くも悪くも英米側の味方に引き付けようとするべく、日本にも有利に作用したという見方は視点の多様化になるかも。
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