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教育と教育観 の商品レビュー

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2022/06/29

 本書は、教育の本質を捉えるための材料を提供する、教育(哲)学の教科書とも呼べる本です。  本書の「まえがき」の部分で、著者のひとりである原は、教育哲学の役割について次のように述べています。「何よりも大事なことは、現実の教育や教育についての考え方がどういう構造になっており、何を前...

 本書は、教育の本質を捉えるための材料を提供する、教育(哲)学の教科書とも呼べる本です。  本書の「まえがき」の部分で、著者のひとりである原は、教育哲学の役割について次のように述べています。「何よりも大事なことは、現実の教育や教育についての考え方がどういう構造になっており、何を前提に作り上げられているか、を認識することである」。教育は、誰しもが経験的に知っている事柄であり、各々が教育についての自らの考えを論じることができるでしょう。多様な教育観が混在している、そして時にはそれらが対立しているという状況で(もちろんそれは、歴史ある教育思想の系譜についてもいえることですが)、教育という実践に関わる人、関わろうとしている人、いずれにせよ教育学を学ぼうとする人は、教育について、そして人と人とが関わるということについて、根本から考えていく必要があると思います。本書は、そのための基盤となるでしょう。  本書は5つの章から構成されており、それぞれの章を原聡介や宮寺晃夫といった教育哲学の領域では著名な論者が執筆を担当しています。各章の内容は、教育とは何か、という教育の概念から教育の目的、教育の中心となる子ども観について、というように、教育の本質を考えるためには欠かせない要素が凝縮されています。さらに本書の優れている点は、各章の終わりに「基本事項解説」が設けられており、本文を理解するために、またさらなる学習の足掛かりとして、読者の手助けとなる説明が充分に提供されています。また、巻末には「教育思想年表」と「近代教育思想家解説」が付されており、学習のための資料としても大いに役立つでしょう。教育の実践に関わる人や教育学に入門する人にとって、さらにはある程度教育学に精通している人にとっても、一度読み、そして手元に置いておきたい教科書となることと思います。ぜひ筑波大学の中央図書館で手にとり、写経するつもりで読んで欲しいと思います。 (ラーニング・アドバイザー/教育 KAWAMURA) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら https://www.tulips.tsukuba.ac.jp/opac/volume/306109

Posted byブクログ