透明標本 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鉄橋:著名なボクサーと鉄道自殺。この取り合わせには、世間的な興味があった 北尾のグローブは、もっぱら男の顔に叩きつけられた。目に残忍な光が浮かび、その打撃は、容赦なく男の顔に向けられた。凄まじい音だった 少女架刑:黙ったまま物差しを振り続ける母の姿にも、ある種の風格があった 私の骨は、静寂に包まれていた 透明標本:他人から嫌われる職業に明スマせた自分に、人間としての深い羞恥心を感じ続けているのか 透明標本と、その肋骨とが彼の胸の中で固く結びついた
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ずっと「少女架刑」が気になっていたのと、佐伯一麦氏の「芥川賞を取らなかった名作たち」で取り上げられた「透明標本」が読みたかったので、借りてみた。 吉村氏のごく初期の作品「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「煉瓦塀」5編をあつめた短編集。 すごく誰かの作品に雰囲気が似て...
ずっと「少女架刑」が気になっていたのと、佐伯一麦氏の「芥川賞を取らなかった名作たち」で取り上げられた「透明標本」が読みたかったので、借りてみた。 吉村氏のごく初期の作品「鉄橋」「少女架刑」「透明標本」「石の微笑」「煉瓦塀」5編をあつめた短編集。 すごく誰かの作品に雰囲気が似ているのだが、誰と言ったらいいだろう。泉鏡花とか…う~ん、うまく例が見つけられないのだが、たとえば小川洋子さんの「偏愛短篇箱」の中に収録されていそうな、といったらいいか。 ちょっとグロテスクで、不条理、でもどこか哀切があって、実は私の好きな感じの作風だ。 どの作品も短編ながら非常に凝縮された何かがあり、それぞれにとても印象的。もっと他の作品も読んでみたくなった。 一番よかったのは「煉瓦塀」かな~。
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