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メイプル夫妻の物語 の商品レビュー

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2014/08/26

典型的なアメリカ的、エスクワィア的な小説であり、ストライク。 リチャードとジョウンという二人の若い幸せな夫婦が、中年の夫婦になり、四人の子供たちも成長し、別居を経て最後に離婚するまでを、それぞれの段階の短編を集める形で長編小説として作っている。前半は単なる夫婦生活なので少し退屈...

典型的なアメリカ的、エスクワィア的な小説であり、ストライク。 リチャードとジョウンという二人の若い幸せな夫婦が、中年の夫婦になり、四人の子供たちも成長し、別居を経て最後に離婚するまでを、それぞれの段階の短編を集める形で長編小説として作っている。前半は単なる夫婦生活なので少し退屈だが、破れては修復されることを繰り返しながら静かに少しずつ関係が離れていく後半は引き込まれる。あまりに長い付き合いとなり、愛も憎しみも超越した説明できない表裏一体の感情の中で離婚に至って行く終盤はまさにページをめくらせるアップダイクの力量。 また、かつて婚姻届を提出した役所に離婚のために婚姻証明を取りに行った際に、長い時間の中で忘れていた結婚式の記憶や自分たち夫婦が若かった頃の記憶が蘇ってくる描写は切ない。こうした人生の哀しさをうまく描いたものはやはり好きだ。

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2014/04/08

ジョン・アップダイクの実生活を反映した自伝的小説と言われている作品。 以前読んだ「結婚しよう」もなんとなくにた感じの内容だったような気がする。 この「メイプル夫妻の物語」はメイプル夫妻の結婚生活に少しづつ生じる亀裂を夫であるリチャードの心理描写を中心に描かれている。 様々な...

ジョン・アップダイクの実生活を反映した自伝的小説と言われている作品。 以前読んだ「結婚しよう」もなんとなくにた感じの内容だったような気がする。 この「メイプル夫妻の物語」はメイプル夫妻の結婚生活に少しづつ生じる亀裂を夫であるリチャードの心理描写を中心に描かれている。 様々な場所で発表されたメイプル夫妻の短編を1冊にまとめたのがこの本で、短編の集まりが結果的には長編小説になっている感じ。 メイプル夫妻の新婚時代から始まり、20年かけて四人の子供を儲け、最終的には離婚する。 家庭が崩壊する物語なのに、主人公で夫のリチャードと妻のジョウンは最後まで不思議な信頼関係というか、絆で結ばれている感じがして、あまり悲惨な感じはなく、最後までさわやかな印象さえ受けた。これは「結婚しよう」でも感じたことなのだけれど、夫婦とうい形式にはもしかしたら向いていなかった二人だけど、人間同士の付き合いにおいては特に問題なかったのかもしれない。 これは、結婚生活というやつがいかに困難であるか、ということが伝わってくる。 お互い全然嫌いじゃないし、むしろ人間的には好きなのに別れる夫婦って存在するもんです。はたから見たら「別れなくてもいいのでは?」って思えるカップルが別れたりする場合ってあるよね。 この小説はとにかく心理描写のみで構成されているので、おもしろいストーリーを期待するとちょっとガッカリするかもしれない。でも、アップダイクの心理描写はとにかく知的で、文章も美しい。個人的にはこのような美しい文章の小説は大好きだ。 知的なことを考えてるのに、主人公のリチャードはいつまでたっても子供っぽさが残っていて、ある意味では無垢な存在として描かれている。アップダイクの小説に登場する男って、基本的に子供っぽい印象を受けるの。きっと、本人がそうゆう人なんじゃないだろうか。 この本に収録されている短編の中でも特に良かったのが「妻を誘う」というリチャードの一人称で描かれたもの。妻の太股を見てジェイムズ・ジョイズの「ユリシーズ」から<うましき温もり>という言葉を思い出すシーンなんかはとってもロマンチックで好きなシーン。そして、自分の妻を誘惑するには、無知な女の子を誘うより、十倍もの努力がいると嘆くのである。 結婚した男女の心の動きを長い時間をかけてじっくり描きあげたよい小説でした。

Posted byブクログ

2010/05/08

一組の夫婦がたどる20数年間の生活が繊細かつ知的な文章でつづられる。 愛し合ってはいてもやがて崩壊にたどりついてしまうメイプル夫妻の姿はまるでアメリカそのものを表してる、なんて深読みは野暮ったい。 むしろ、ただただ2人の男と女が交わす言葉、すれ違い、今はなき若き日の風景などがやる...

一組の夫婦がたどる20数年間の生活が繊細かつ知的な文章でつづられる。 愛し合ってはいてもやがて崩壊にたどりついてしまうメイプル夫妻の姿はまるでアメリカそのものを表してる、なんて深読みは野暮ったい。 むしろ、ただただ2人の男と女が交わす言葉、すれ違い、今はなき若き日の風景などがやるせないほど事細かに書かれていて、だからこそいつの時代のどんな国の人が読んでも共感できる作品である。 もちろん、既婚者、もしくは既婚者だった人にぜひ読んでほしい。

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2009/10/04

内容(「BOOK」データベースより) 離れては寄りそい、寄りそってはまた離れる男女の心の絆―時には喧嘩し、時には和解し、結婚という長い道程を二人は歩んでいく。遥かな、遠い道程―。メイプル夫妻という一組の夫婦を主人公に、新婚時代から始まって、20数年後に破局が訪れるまでの二人の心の...

内容(「BOOK」データベースより) 離れては寄りそい、寄りそってはまた離れる男女の心の絆―時には喧嘩し、時には和解し、結婚という長い道程を二人は歩んでいく。遥かな、遠い道程―。メイプル夫妻という一組の夫婦を主人公に、新婚時代から始まって、20数年後に破局が訪れるまでの二人の心の揺れを繊細に描いた17編の短編集。著者アップダイク自身の結婚生活をもっとも忠実に反映した自伝的作品である。

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