1,800円以上の注文で送料無料

手塚治虫 の商品レビュー

4

5件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    2

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/06/05

1985年放送のNHK『手塚治虫~創作の秘密~』を観た。以前に再放送されたものを録画しておいたのだ。 この番組に登場する手塚治虫(1928-1989)は50代後半。空港までの車内で描き、ホテルでの描き、3日で3時間しか寝ないような激務。放送の4年後の1989年に60歳で亡くなるが...

1985年放送のNHK『手塚治虫~創作の秘密~』を観た。以前に再放送されたものを録画しておいたのだ。 この番組に登場する手塚治虫(1928-1989)は50代後半。空港までの車内で描き、ホテルでの描き、3日で3時間しか寝ないような激務。放送の4年後の1989年に60歳で亡くなるが、最期の言葉は「頼むから仕事をさせてくれ」だった。 日本のアニメが「クールジャパン」と称して世界に輸出できるレベルになったのは彼の存在が大きい。「マンガの神様」の実像が知りたくて、長いこと本棚にあった本書を読んだ。 手塚治虫とは何だったか。本書を読み終えて、「手塚治虫とはイノベーションであった」と思った。 シュンペーターは「イノベーションとは創造的破壊である」と言った。手塚治虫は漫画の世界にイノベーションを起こしたが、作品のテーマも「創造と破壊」であることが多い。しかし、それは彼が生きた時代の投影でもあった。 宝塚というモダンに作られた町で育った彼は、戦争で破壊を経験し、戦後の復興の中で漫画家になる。医者の道を捨てて漫画家になったのだ。 その後、劇画が流行ればその手法を取り入れ、会社の倒産による負債を抱えながら『ブラックジャック』を生み出した。 トインビーは、文明とは「挑戦と応戦」の歴史であると言った。「漫画の神様」手塚治虫の半生は「創造と破壊」の、また「挑戦と応戦」の歴史であった。

Posted byブクログ

2014/03/31

日本のマンガ文化の最大の立役者にして、生涯にわたって執拗に自己承認を求め続けた手塚治虫の実像に迫った本です。 『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』といった初期作品のモティーフを読み解くことから始まり、マンガへのバッシングや劇画の隆盛といった逆境との戦い、アニメへの進出と虫プロの倒産...

日本のマンガ文化の最大の立役者にして、生涯にわたって執拗に自己承認を求め続けた手塚治虫の実像に迫った本です。 『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』といった初期作品のモティーフを読み解くことから始まり、マンガへのバッシングや劇画の隆盛といった逆境との戦い、アニメへの進出と虫プロの倒産、そして晩年の『ブラック・ジャック』『火の鳥』で追及されることになった、差別と反抗、生と死、歴史と正統性などの壮大なテーマに迫っています。 手塚治虫という表現者が、彼の生きた時代の中でどのような葛藤を抱えていたのかという観点からの考察として、興味深く読みました。ただ、手塚自身のパーソナリティについては、ややあっさりとした紹介に終始しているような気もします。

Posted byブクログ

2014/01/16

社会学者が誠実にまとめた手塚治虫の伝記。巻末の膨大な注釈がそれを物語っている。手塚治虫のマンガを真正面から論じるというよりも、その背景にある社会情勢や手塚治虫をめぐる出来事からマンガを浮かび上がらせる感じ。「作家精神と商業主義のはざまのぎりぎりのところで仕事」をした手塚治虫のさま...

社会学者が誠実にまとめた手塚治虫の伝記。巻末の膨大な注釈がそれを物語っている。手塚治虫のマンガを真正面から論じるというよりも、その背景にある社会情勢や手塚治虫をめぐる出来事からマンガを浮かび上がらせる感じ。「作家精神と商業主義のはざまのぎりぎりのところで仕事」をした手塚治虫のさまがよくわかる。

Posted byブクログ

2012/08/29

手塚治虫の作品はアニメではいろいろ見たが、マンガは「ブラックジャック」ぐらいしか読んでいなかった。この本では、手塚作品を総観し、手塚作品がいかにその時代や社会や人間のあり方を反映し、また批判的に描いたものであるかが述べられている。ぜひ手塚作品を読んでみたいと思わせる内容。

Posted byブクログ

2009/10/04

良くも悪くも普通の伝記。著者の手塚漫画体験を踏まえ、時代を追って手塚漫画と手塚治虫の生きかたを解説しています。著者は漫画関係者ではなく、現代社会氏、理論社会学の専門家だから仕方ないといえばそれまでですが…。ただ、今まで語られてきた手塚治虫の経歴を解き明かすところは読み応えがありま...

良くも悪くも普通の伝記。著者の手塚漫画体験を踏まえ、時代を追って手塚漫画と手塚治虫の生きかたを解説しています。著者は漫画関係者ではなく、現代社会氏、理論社会学の専門家だから仕方ないといえばそれまでですが…。ただ、今まで語られてきた手塚治虫の経歴を解き明かすところは読み応えがありました。ていうかすごい事実が暴かれています。 「手塚治虫=近代日本最大の知的職人」という捉えかたには同感です☆

Posted byブクログ