ネロ の商品レビュー

フィリップファンデンベルク(著者),平井吉夫(訳者)

2018/04/01

ローマ皇帝ネロの伝記です。
皇帝になる前から、親類同士での争いや暗殺に恵まれた人生でした。
異常者のような先帝たちが続き、ネロの時代は一時期安定したように見えました。
武勲よりも芸術を愛するネロですが、母の殺害と恩師セネカの死などを経て、着実に道を踏み外していきます。
後世が伝える人物像は悪意によって歪められたものですが、穏健から癇癪という凋落がそれを許す土台になってしまったと思います。
ネロの死後、皇帝が短期間で変わる混沌がやってきます。
ローマ人同士の争い、内戦が世界帝国の首を絞めていきます。
文明崩壊の足音と共に、皇帝ネロは人生の舞台で唄い、踊り、幕を閉じたのです。