パルナス の商品レビュー

シルヴァーノアリエティ(著者),森泉弘次(訳者)

2022/03/06

イタリア本土の一部を占領中、ドイツ軍は戦況のめまぐるしい変化に苦戦を強いられながらも、いつもの行動、なかんずくユダヤ人殺戮攻撃はやめなかった。ユダヤ系イタリア人はイタリア・ファシスト党によって散々苦しめられ迫害されたあげく、今度はドイツの侵略者たちの標的にされて、前よりも遥かに悲惨な状態に陥られた。ムッソリーニ失墜（1943年7月25日）から終戦（1945年5月8日）に至る間に、ドイツ軍は7495人のユダヤ系イタリア人を逮捕して国外に移送した。そのうち6885人は虐殺され、生還者はわずか610人だった。ユダヤjンが隠れていそうなところには間断なく襲撃がかけられて、彼らは逮捕された。1943年10月16日にはローマだけで800人もの子女を含む1217人のユダヤ系市民が逮捕されて殲滅強制収容所に送られたが、そこから生還できたのはわずか男14人、女1人だった。その1か月後（1943年9月16日）にドイツ軍はユダヤ系市民に、もし50キログラム以上の金を供出すればユダヤ人いじめはやめると約束しておきながら、ユダヤ人がそれを実行したあとで、破廉恥にもこうした蛮行を行った。1943年9月17日、ドイツ軍はベネチアのユダヤ教・会衆の長ジョゼッペ・ヨーナに、ベネチア在住のユダヤ人の氏名、住所のリストを提出するよう命じた。与えられた猶予は1日のみ。この短い時間をフルに使って彼は連絡しうる限りうのユダヤ人共同体メンバーにベネチアから避難するよう警告したあと、ドイツ兵がリストを要求しにやってくる前に自殺した。彼の命がけの努力にもかかわらず、ユダヤ老人ホームの人たちを含む200人以上のユダヤ系ベネチア市民が逮捕された。フェッラーラでは11月14日、150人のユダヤ人が連行され、1944年10月から11月にかけてトリエステでは710人を下らぬユダヤ人が逮捕された。