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禅と精神医学 の商品レビュー

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坐禅などは自らの精神…

坐禅などは自らの精神力を鍛えるものといってもいい。精神医学の立場からそれを検証。

文庫OFF

2017/12/23

精神医学の立場から、禅の瞑想に切り込んだ本です。瑩山の『坐禅用心記』というテクストを読み解きつつ、随所に著者の立場からのコメントを挟んでいくというかたちで議論が進められています。 著者の研究によって、老師たちが禅定に入ったとき、安静時に見られるアルファ波が測定されるということが...

精神医学の立場から、禅の瞑想に切り込んだ本です。瑩山の『坐禅用心記』というテクストを読み解きつつ、随所に著者の立場からのコメントを挟んでいくというかたちで議論が進められています。 著者の研究によって、老師たちが禅定に入ったとき、安静時に見られるアルファ波が測定されるということが明らかにされました。ただしこのようにいうと、禅はアルファ波への執着から自由な境地のはずだ、という反論があがることが予想されます。とはいえ著者も、アルファ波の測定される状態を「目的」とすることが、禅からかけ離れたものであることを、知らないわけではありません。 それどころか著者は、脳波の測定といった精神医学的な立場からの禅の研究をしりぞけようとする、主に臨済宗の禅者たちに対して、そうした排他的な立場は、禅の自由な境地から逸脱していることになるのではないかという問いかけをおこなっています。禅の境地を心理的なプロセスから隔絶したものと考えるようなドグマティズムを嗅ぎつけているようにも思えます。 本書の臨済禅批判には、必ずしも同調できないものを感じることも事実ですが、禅の科学的研究という字面から想像されるような還元主義的な傾向はあまり見られず、思っていたよりも良書だったというのが、読了後の感想です。

Posted byブクログ