耳をすます壁 の商品レビュー
初マーガレット・ミラー。最近知った作家。書かれたのが1959年。サンフランシスコからメキシコに旅行にやってきた30代前半の女性ウィルマとエイミー。とウィルマがホテルのバルコニーから転落して死んでしまう。隣の物置ではメイドが体を休めていて、言い争いの声が聞こえたので部屋に入ると、エ...
初マーガレット・ミラー。最近知った作家。書かれたのが1959年。サンフランシスコからメキシコに旅行にやってきた30代前半の女性ウィルマとエイミー。とウィルマがホテルのバルコニーから転落して死んでしまう。隣の物置ではメイドが体を休めていて、言い争いの声が聞こえたので部屋に入ると、エイミーが床に倒れていた。エイミーは記憶もあいまいなまま夫が迎えに来るが、家に戻るや家を出て行ったという夫の言。 エイミーの兄は夫を疑い探偵を雇い・・ 最後の一行でどひゃー これは女性の女性への観点の作品なのかな。エイミーを兄や夫や友人の言いなりになっているように描いているが、この最後を知って、最初の事故の場面を読み直してみると、ああ、なるほど、ちゃんと伏線として描かれてるんだなあ。映画にしてもおもしろいかも。 しかしウィルマが作ったエイミーの夫のイニシャルの入った銀製の箱、あれの意味するものは何? テンポよく進み、けっこう唐突な展開や設定がおもしろい。他の作品も読んでみようかと思う。 マーガレット・ミラー 1915-1994 夫はロス・マクドナルド。「動く標的」 ポール・ニューマンで映画化されている。 1959発表 1990.2.23初版 図書館
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終盤に至るまでの緊迫感溢れる展開は読み応えがあってとても面白い。 エイミーの顛末は、ある程度予想がつくことを差し引いても、最後の一文を活かすには何か足りない気がする。それに、ギルがそこまで理解が深いかちょっと疑問。
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図書館から借りました 推理。舞台はメキシコとアメリカ。 二人のアメリカ女性がメキシコに旅行に出かけ、片方(ウィルマ)がホテルのベランダから落ちて死ぬ。 酒に酔っていて記憶のないもう一人の女性(エイミー)は、夫(ルパート)が迎えにきてアメリカに帰ると、失踪する。 タイトルの意味は、メキシコのホテルの若いメイド「コンスエラ」(嘘つき・怠け者・美人・客のバッグから物をかっぱらう窃盗犯というどーしようもない女)が、いつも掃除用具のロッカーで怠けていて、たまたまこの日その事件の部屋の口論を壁越しに聞いていたからだ。 エイミーの兄は妹の夫を快く思っておらず、妹の失踪を即「妹はこいつに殺されたのだ」と、思いこむ。そして探偵を雇う。探偵の方は「主婦が冒険旅行にいくなんて、よくあること」と思っているが、金を貰っているので調べ始め、「もしかして、家の中に隠れているのでは?」と、思い始める。 そんなことをしていると、殺人事件が起きてしまう。 ことはどんでん返しを繰り返す。 ルパートは妻をこよなく愛し、彼女を守るためには労力を惜しまない。すばらしい。 兄ちゃんはぶっ壊れ気味。 エイミーは自分のない女。 自分では何も決定できない女。 コンスエラに言われて、自分がウィルマを殺したのだと思いこむ。 ルパートは妻をよく知っていて、こんな状態で警察の事情聴取を受けたら、妻は殺人犯にされてしまう、と、妻をあらゆるものから隠して、本当の記憶が戻るのを待つ。 そして。 コンスエラは追いつめられて、恋人を殺し、そしてまた追いつめられて、「ウィルマが勝手に落ち、エイミーはそれに関与していない」という、彼らの納得する嘘をつく。 しかしながら・・・。 まあこれは読んでいただければ♪
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消極的で従順なエイミーと、派手な性格のウィルマ。大胆に行動するウィルマに振り回される形で、エイミーは彼女との友達関係を保っていた。そんな二人が、気分転換に旅立ったメキシコで、事件は起こる。ウィルマがホテルのバルコニーから転落死、同室で保護されたエイミーは、事件当時の記憶を失い、そ...
消極的で従順なエイミーと、派手な性格のウィルマ。大胆に行動するウィルマに振り回される形で、エイミーは彼女との友達関係を保っていた。そんな二人が、気分転換に旅立ったメキシコで、事件は起こる。ウィルマがホテルのバルコニーから転落死、同室で保護されたエイミーは、事件当時の記憶を失い、その後謎の失踪。 エイミーを溺愛する兄は、不可思議な行動を続けるエイミーの夫に疑惑の目を向け、探偵を雇う。エイミーをめぐるエゴに満ちた人間関係と、遠く離れたメキシコで事件にかかわる人々の思惑。謎が謎を呼ぶストーリーの果てには、思いがけない結末が待っていた。 女の弱さとしたたかさが創りあげるサスペンス。同性の目から見ると、同情と近親憎悪的な感情がからみあって、実になまなましく感じられます。が、マーガレット・ミラーの描く世界には、どこか明るさというかさばさばとした爽快感があって、切れ味がいい。ルース・レンデルと好対照の作風で、こちらも好きです。
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