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金沢 酒宴 の商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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2011/08/11

主人公が金沢でいろいろな人にあって酒を呑んで酔っ払って…という、たわいもないストーリーなのですが、この文体というか表現がハンパなくすごくて、読んでいてこっちまで酩酊状態になってるかと錯覚するほど。文体が本当に特徴的で、「Aを見てBと感じた」というのを、おおよそ考え得るもっとも湾曲...

主人公が金沢でいろいろな人にあって酒を呑んで酔っ払って…という、たわいもないストーリーなのですが、この文体というか表現がハンパなくすごくて、読んでいてこっちまで酩酊状態になってるかと錯覚するほど。文体が本当に特徴的で、「Aを見てBと感じた」というのを、おおよそ考え得るもっとも湾曲してクネクネした遠回りな方法で表現していて…これが普通ならめんどくさくなったり、読む気がしなくなったりするのですが、逆に不思議と「ん?」と2度読みしてしまう何かがありました。とにかくエラくクネクネしているのにも関わらず、著者の人柄からか、言葉選びからか、爽やかで上品とまでに感じてしまう文体で、さらに読点をあまり用いていないので、読むたびに文をどこで切るかで印象も変わるし…。本当に、日本語で遊び過ぎ! とツッコミたくなる素敵な大人の言葉遊び的な作品でした。

Posted byブクログ

2012/02/11

幻想小説の最高傑作。 月を観ながら酒を飲んだり、絵の中に入って竹林で酒を飲み交わしたり。 最初は主人公以外の登場人物はなし。やがて幾人か登場してくるが、皆、吉田健一の分身としか思えない。彼らの会話は作家の夢の中に入ったかのよう。 不思議が起こらない現実の方がどうかしている。真実は...

幻想小説の最高傑作。 月を観ながら酒を飲んだり、絵の中に入って竹林で酒を飲み交わしたり。 最初は主人公以外の登場人物はなし。やがて幾人か登場してくるが、皆、吉田健一の分身としか思えない。彼らの会話は作家の夢の中に入ったかのよう。 不思議が起こらない現実の方がどうかしている。真実はこちらでなければおかしいと平然と言い放つ。その通りと納得させられる。だから読後、現実の世界に戻るのに苦労する。

Posted byブクログ