漢詩の名句・名吟 の商品レビュー
漢詩を日本の和歌・俳句あるいは牧水の詩などに重ねた説明は分かりやすい。そして実際の景色、酒の量は日本と比較しどうであろうと、雰囲気を感じればよいという著者は専門家でありながら、大変寛大だ。王維の親友・元二を送る歌「西のかた陽関を出ずれば故人無からん」に始まり、李白の酒にまつわるネ...
漢詩を日本の和歌・俳句あるいは牧水の詩などに重ねた説明は分かりやすい。そして実際の景色、酒の量は日本と比較しどうであろうと、雰囲気を感じればよいという著者は専門家でありながら、大変寛大だ。王維の親友・元二を送る歌「西のかた陽関を出ずれば故人無からん」に始まり、李白の酒にまつわるネアカな歌は芭蕉の「奥の細道」の冒頭に影響した「春の夜に桃李の園にて」は人生楽しもうという続くのはあまりにも雰囲気が違う!また李白の「長安一片の月」「床前月光を看る」の2首の美しさ! 月の美しさを称えるのは日本と同じだ。そして高い場所の景色を愛でた3楼の歌。(王之渙の登鶴雀楼、杜甫の岳陽楼、王之渙の鶴雀楼。)、杜甫「登高」は重陽の節句に山に登る歌、なども懐かしい気がする。改めて李白は「詩仙」で、杜甫は「詩聖」はその通りだと感じる。日本で絶大な人気だったという白楽天の人気。唐の時代の詩人韓翃(コウ)の漢詩「同題仙遊観」から伊達政宗が城の名前を採ったという推理の説明も楽しい。
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中国語が読めずもっぱら書き下し文でのみ味わっているが、漢詩は昔から好きだ。 情景描写が殆どで直接的な内面描写にあまり重きを置いていないからか、読んでいてくどさが無い。夏目漱石が「草枕」で「汽船、汽車、権利、義務、道徳、礼儀で疲れ果てた後、凡てを忘却してぐっすり寝こむような功徳」と...
中国語が読めずもっぱら書き下し文でのみ味わっているが、漢詩は昔から好きだ。 情景描写が殆どで直接的な内面描写にあまり重きを置いていないからか、読んでいてくどさが無い。夏目漱石が「草枕」で「汽船、汽車、権利、義務、道徳、礼儀で疲れ果てた後、凡てを忘却してぐっすり寝こむような功徳」と東洋の出世間的な詩歌に敬意を表しているが、同感だ。 本書で紹介された中では、「世に処るは大いなる夢の若し」で始まり、マーラーの「大地の歌」でも翻訳された李白の「春日酔起言志」が最も良い。
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