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蠱惑への傾斜 の商品レビュー

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2009/10/04

「電子城」(1989),「セルロイドの乳首」(1990)の戯曲集。舞台写真やセットの解説付きメモなど、舞台の様子を伺う手がかりはいっぱい。前者はテレビゲーム、後者はバンドブーム。若者の流行を取り込んだ。しかし中身は、どっぷり不条理。独特の情念が漂い、言葉は意味がぼやけて世界は溶け...

「電子城」(1989),「セルロイドの乳首」(1990)の戯曲集。舞台写真やセットの解説付きメモなど、舞台の様子を伺う手がかりはいっぱい。前者はテレビゲーム、後者はバンドブーム。若者の流行を取り込んだ。しかし中身は、どっぷり不条理。独特の情念が漂い、言葉は意味がぼやけて世界は溶けてゆく。わかったようでわからない。幾度も話の展開にからめとられた。幾度も読み返さないと、きっと物語世界へ到達できないだろう。公演記録が皆無なのは残念だが、良い企画の戯曲集だと思う。

Posted byブクログ