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夕潮 の商品レビュー

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2024/09/08

 伊豆諸島(特に式根島)が舞台のミステリー。夏の間休暇にきた言語学者とその妻が、島に伝わる伝説に巻き込まれていく。犯人は最初からなんとなくわかってしまうのであるが(迷うには登場人物が少なすぎる)、そんなことよりも、男女の性愛のような、ふだんの生活でおもてに出さない部分を、深海に沈...

 伊豆諸島(特に式根島)が舞台のミステリー。夏の間休暇にきた言語学者とその妻が、島に伝わる伝説に巻き込まれていく。犯人は最初からなんとなくわかってしまうのであるが(迷うには登場人物が少なすぎる)、そんなことよりも、男女の性愛のような、ふだんの生活でおもてに出さない部分を、深海に沈んでいくように、深く深く覗き込んでいくことの奥深さと恐ろしさが表現されているところが面白かった。キーワードは「呪法の三角」と、登場人物の一人である富一郎が翻訳に取り掛かっていたジャック・キャゾットのディアブル・アムルーという小説。後者は、この『夕潮』が刊行されたのと同じ一九九〇年に国書刊行会のシリーズ<バベルの図書館>から『悪魔の恋』というタイトルで、渡辺一夫/平岡昇訳で出ているようなので、図書館で借りて読んでみたい。

Posted byブクログ