夜明けのうた の商品レビュー

ミンフォンホー(著者),飯島明子(訳者),テープスィリ・スクソーパー

2014/11/01

『カンボジアの大地に生きて』とテーマは似ている。アジアの、まだ男尊女卑があからさまに行われている農村で、能力のある女の子がどう自立して生きるか。
これはちょっと前のタイが舞台。物語全体を見ると、『カンボジア』のほうができが良いと思うが、これも悪くない。
主人公タワンと高僧が問答するシーンは印象的。
始まりのシーンもとても美しい。
ミンフォン・ホーはアジアの、女性が虐げられる社会を憎んでいるが、アジアの自然や食べ物については非常に愛情が感じられる描写が多い。告発するだけでなく、良いところもしっかり書きこんでいるから、物語がリアルで味わい深いものになるのだろう。
もっと作品が日本で読まれるといいと思う。