D.G.ロセッティ の商品レビュー
「ダンテ・ガブリエル・ロセッティ」と、どの絵かの傍らに記してあった(私も最初、そう憶えたような気がする)のは、今となって思えば、誤記とは言わぬまでも迂闊であって、彼はこの書にあるように、「ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ」なのだった。「ラファエル前派Pre-Raphaelite」...
「ダンテ・ガブリエル・ロセッティ」と、どの絵かの傍らに記してあった(私も最初、そう憶えたような気がする)のは、今となって思えば、誤記とは言わぬまでも迂闊であって、彼はこの書にあるように、「ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ」なのだった。「ラファエル前派Pre-Raphaelite」などという語を耳にしたのさえ学生になってからだが、はっきりと「ロセッティ」という姓を意識したのはもう少し後になってからだった。美学にも英文学にも門外漢たるはずの私がこんな本を持っているのは、やはり「何か」に惹かれたからだろう。この本を「読み込んだ」とは、私はとても言えないのだが、「序」と「家系」を読むだけでも、その「何か」が漂ってくるような気がする。モロー、ルドン、ゴッホ、デュルメル、ミュシャ……、そして(アンドレ・マルロー語るところの)イェイツ、ワグナー、キーツ、ブレイク、リラダン、ビアズリー、メーテルランク、ヴェルレーヌ、といった、これらの錚々たる名が、D.G.ロセッティを軸に、有機的な繋がりを形成する。そのことをはっきり示してくれた、貴重な1冊。カヴァーイメージでもいいから、1枚でも彼の絵が表示されたなら。ミュシャが好きな人で、ロセッティの絵に興味(どのような類いであれ)を示さない人は、いないでしょうから。
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