身分帳 の商品レビュー
著者の作品を読むのは随分と久しぶりで、レビューを調べると13年ぶり。加賀乙彦さんにせよ著者にせよ、多くの殺人囚と接してこられた方の作品はずしりと重く、いつしか自分を囚人に重ねて息苦しくなる。山川一、なまじっか律儀で潔癖で度胸があるだけに、いかにも危うい。いずれも大切とされながら、...
著者の作品を読むのは随分と久しぶりで、レビューを調べると13年ぶり。加賀乙彦さんにせよ著者にせよ、多くの殺人囚と接してこられた方の作品はずしりと重く、いつしか自分を囚人に重ねて息苦しくなる。山川一、なまじっか律儀で潔癖で度胸があるだけに、いかにも危うい。いずれも大切とされながら、むしろ備わっていない方が差し障りなく生きられる矛盾。更生支援では、ケースワーカーの助言じゃないが「もっと妥協して生きなさいよ」ってとこかな。自分を抑え、ときに信念を曲げる。かっちょ悪いけど、これはこれで勇気がいるし、俺もまだ甘い。
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誤った判断はしていないと自負しても法に触れてしまうと罰を受ける。罰を受けた者はもう普通の生活はできないという不寛容な社会は正しい世の中なのか。片や、法に触れなければ許すまじ挙動を繰り返しても正当化されると思うなかれ。そこに驕りがある限り堕ちる行程は通らざるを得ない。真摯に生きるこ...
誤った判断はしていないと自負しても法に触れてしまうと罰を受ける。罰を受けた者はもう普通の生活はできないという不寛容な社会は正しい世の中なのか。片や、法に触れなければ許すまじ挙動を繰り返しても正当化されると思うなかれ。そこに驕りがある限り堕ちる行程は通らざるを得ない。真摯に生きることに苦悩する主人公は険しくても信じる道を歩む。その姿は驕れる者よりも素晴らしき生き方であろう。
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