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どれもが、宝石のよう…

どれもが、宝石のような短編群。懐かしい土の匂いが漂ってきます。日本人の原風景を描いた本として、いつまでも読み継がれて欲しい。

文庫OFF

「野」が非常に印象深…

「野」が非常に印象深い作品でした。ミサと耕平との不思議な関係。都会での孤独さ。盆栽との出会い。盆栽に見出した懐かしい故郷の風景。サプライズな最後。ん~味わい深いです。

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著者の故郷を舞台にし…

著者の故郷を舞台にした短編集です。雄大なる自然と人との作品。

文庫OFF

2021/02/23

野山で生きる人々の生老病死を瑞々しい風景描写と、細やかな心理描写で写し取った短編集。 著者が自分の著作の中で最も好きな作品というだけあって、どの作品も伸び伸びとした筆さばきで書かれているように思える。 特に「楕円形の故郷」は、東京が舞台にも関わらず、盆栽という意外な装置を使って都...

野山で生きる人々の生老病死を瑞々しい風景描写と、細やかな心理描写で写し取った短編集。 著者が自分の著作の中で最も好きな作品というだけあって、どの作品も伸び伸びとした筆さばきで書かれているように思える。 特に「楕円形の故郷」は、東京が舞台にも関わらず、盆栽という意外な装置を使って都会と故郷の「野」を曲芸的に繋いだ、かなり意欲的な作品に思えた。 平易な言葉を使いながら、目を洗われるような美しい情景描写が連続する「泉」は、主人公の妊婦の所作が、著者の出生時に母親が死産を願って取った行動と対称を成しており、ただ綺麗な物語というだけでなく、深くも読めてしまう。 けれど本書で一番衝撃的だったのは、私がこの著者に特別に惹かれる理由を、解説者の秋山駿氏がすっきりと説明してくれたこと。 処女作『忍ぶ川』の題名通り、三浦哲郎氏は忍び通した作家人生を歩んだという。 敗戦に伴い、大江健三郎に代表される新時代の作家たちは、戦前の日本が持っていた文化や思想を否定し、戦後日本に流入した新思想や新理論に基づいた文章表現を採用した。 一方で本著者は、日本人のあらゆる局面を描くためには、敗戦以前の私小説家の文章で事足りるとし、それを実践する。 それが、万葉から脈々と受け継がれてきた日本の言語の血統を守ることになっている。 日本を信じ、日本に随(つ)いた、その姿勢に惹かれざるを得ないのだろうな、と。

Posted byブクログ