内閣官房長官 の商品レビュー
官房長官はよく内閣総理大臣の「女房役」とか「内閣の 大番頭」と言われるが、実際の職務はどのようなものか? 行政改革をなしとげ、日本を国際政治の舞台にデビュー させた中曽根政権の功罪とは? 第1章 政権の出発 第2章 政権の試練 第3章 行政改革の推進 第4章...
官房長官はよく内閣総理大臣の「女房役」とか「内閣の 大番頭」と言われるが、実際の職務はどのようなものか? 行政改革をなしとげ、日本を国際政治の舞台にデビュー させた中曽根政権の功罪とは? 第1章 政権の出発 第2章 政権の試練 第3章 行政改革の推進 第4章 外交 第5章 日米経済摩擦 第6章 戦後政治の総決算 第7章 衆議院議員定数是正 第8章 税制改革 第9章 田中派の崩壊 終 章 政権が目指すもの 1989年の刊。以前、図書館で借りて読んだので再読。 文庫化されることを期待していたがされず、24年前の 本ということでなかなか手に入らなかったのであるが、 小諸のブックオフで購入。 後藤田正晴については保阪正康の伝記本や御厨貴監修の 回顧録などがあり、後藤田自身の著作も多い。 内容が大きく違う訳ではないがニュアンスの違いが面白 い。異なる角度から観る事により、浮き彫りになる事も ある。 ペルシャ湾への掃海艇派遣問題について情と理では「ど うしてもやりたいというならやってみろ。必ず俺が止め るから」ときつく言ったとしているが、本書の方では 「やれるものならやってみろ。つぶす。帰れ」と怒鳴っ たとしている。どちらも後藤田が反対したという事実は 変わらないが後者の方がより生々しく強い信念が感じら れる。(情と理は1998年の刊で9年を経ている) 北朝鮮の漂流船が亡命した事件。前者は外務省の役人を 谷野参事官としているが後者は谷野審議官としている。 まあ、どちらでも大勢に影響はないが、記述に違いがあ るという点は知っておいてもよい。 また、年月を経た事により、生々しさが薄れた部分と新 たに証言された部分もある。東芝ココム違反問題につい て、後者では通産省が告発したとあるが、前者では、後 藤田が通産省の局長に刑事事件で処理しろという話をし たとしている。 死んだふり解散と呼ばれた衆参同日選について、後藤田 は事前のマスコミの取材に対しできるだけウソにならな いように切り抜けようとしているのが面白い。政治家は 正直では務まらないと思うが平気で嘘をつくようでも務 まるまい。政治に関しては出し抜かれる方が悪いと思う がギリギリの部分をくぐるのが老練な政治家の技である。 本書でも触れられている行政改革の推進、消費税問題、 戦後政治の総決算、衆議院議員定数是正などは今日の問 題でもある事に気づかされる。読んでいて得るところが 多くおススメである。
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