独創は闘いにあり の商品レビュー
「ミスター半導体」と呼ばれ、その名声の高い西沢潤一氏の研究回想録である。その経歴はさぞ輝きに満ちたものと思いきや、若き頃は、学会において同業研究者からの厳しい攻撃にさらされるとともに、研究資金の獲得が極めて困難であったなど、決して順風満帆なものとは言えなかった。ごく限られた資金を...
「ミスター半導体」と呼ばれ、その名声の高い西沢潤一氏の研究回想録である。その経歴はさぞ輝きに満ちたものと思いきや、若き頃は、学会において同業研究者からの厳しい攻撃にさらされるとともに、研究資金の獲得が極めて困難であったなど、決して順風満帆なものとは言えなかった。ごく限られた資金を有効活用すべく、実験設備は自作、その部品も三年がかりで少しずつ集めたというが、「そうした厳しい制約下におかれたからこそ、それを克服する過程で、氏の業績につながる様々な発見ができた、最初から研究環境に恵まれていたら、このようにはいかなかった」というのは、傾聴に値する。要するに、自身を取り巻く環境が不利なものであったとしても、捉え方次第であるとともに、それを理由に逃げてはダメだということだ。
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