「怪しげな時代」の思想 の商品レビュー
保守派の論客として知られる著者の評論集。 著者は、世の中の変化が激しい時代には、一見怪しげに見えるものが、次の時代を切り開く重要な意義を持つことが多いと言います。たとえば、幕末の時代に活躍した坂本竜馬や彼を取り巻く維新の志士たちは、300年の伝統を持つ幕藩体制の主流からかけ離れ...
保守派の論客として知られる著者の評論集。 著者は、世の中の変化が激しい時代には、一見怪しげに見えるものが、次の時代を切り開く重要な意義を持つことが多いと言います。たとえば、幕末の時代に活躍した坂本竜馬や彼を取り巻く維新の志士たちは、300年の伝統を持つ幕藩体制の主流からかけ離れた、「怪しげな」人物でした。 「プロローグ」を読む限りではこうしたコンセプトで執筆された本らしいのですが、じっさいには現代における「怪しげな」ものを具体的に論じるような内容にはなっていません。 第1部は多少主題に関わるテーマで、戦後の日本が世界的にも稀に見る繁栄を謳歌した理由を、自助精神が広く行き渡っていたことと、「天皇」という確固たる正統が存在していたことに求めるというものです。第2部は、著者自身の古典との関わりをふり返りながら、古典から学ぶ知恵について論じています。第3部は、ヨーロッパで広がりを見せている移民の受け入れに反対する評論や、ドイツ参謀本部の例から強い組織の作り方を学ぶ評論が収められています。第4部は、堺屋太一、日下公人、石井威望との対談です。
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