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破れた繭 の商品レビュー

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2023/02/14

開高健の学生から結婚までの半生を、純文学的な手法を用いて描いた私小説的自伝。「耳の物語」というだけあり、真ん中すぎくらいまでは音の記憶がメインとなる。 開高健の作品は、背景の蓄積などからの厚みや、寄稿先の雰囲気でめっぽう読みやすいものからガチガチに読みにくいものがあるが、これは...

開高健の学生から結婚までの半生を、純文学的な手法を用いて描いた私小説的自伝。「耳の物語」というだけあり、真ん中すぎくらいまでは音の記憶がメインとなる。 開高健の作品は、背景の蓄積などからの厚みや、寄稿先の雰囲気でめっぽう読みやすいものからガチガチに読みにくいものがあるが、これは読みにくい方。 というのも、のっけから主語がない。おそらく自伝において「私は」という部分の主語を意図的に省いたものと見え、途中の「父は」「母は」という部分以外に主語がない上、やったことあったことを全く切らずに一文で描いてしまうため、昭和前半の文学に慣れている人でないと、数ページで脱落する可能性がある。 また、文が終わったと思えばさっさと違う話題に移ってしまうものが多く、Amazonのレビューで「これは散文詩である」と書いている気持ちもわからぬではない。 さらには全体に純文学的な比喩的表現も多く、これで頭を抱える読者もいるだろう。しかし安い合成蒸留酒を飲んで「地面が立ち上がってくる」など、所々にキラリと光って尖った表現があるため、好きな人にはたまらない文章となろう。 長い話をバラバラに描いているようで、きちんと時系列は揃っているため、戦中戦後のアルバイトで飢えをしのいだり、制度が変わって大学に何度も受験したり、奥さんと思われる女性と出会って、いろいろと悶着したりという部分は、注意力が散漫でも読み取れるし、終盤の子供ができる辺りからは普通の面白おかしい私小説となった。 後半では耳の話は置いておかれ、自分以外の主語が書かれるが、そのほうがわかりやすくなる。 電子で買って、思い出したように少しずつ読む、というのもよいかもしれない。読みやすいものではない。

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2013/01/13

(1990.01.09読了)(1989.12.26購入) (「BOOK」データベースより) 古今東西、あらゆる方法で自伝は書かれた。しかし、《音》によって生涯が語られたことは、まだない。―少年の耳に残る草の呼吸、虫の羽音。落下してくる焼夷弾の無気味な唸り。焼跡の上を流れるジャズの...

(1990.01.09読了)(1989.12.26購入) (「BOOK」データベースより) 古今東西、あらゆる方法で自伝は書かれた。しかし、《音》によって生涯が語られたことは、まだない。―少年の耳に残る草の呼吸、虫の羽音。落下してくる焼夷弾の無気味な唸り。焼跡の上を流れるジャズのメロディ。恐怖とともに聞いた「できたらしい」という女のひと言…。昭和5年に大阪に生まれてから大学を卒業するまでの青春を、《音》の記憶によって再現する。日本文学大賞受賞。 ☆開高健さんの本(既読) 「オーパ!」開高健著、集英社文庫、1981.03.25 「もっと広く!(上)」開高健著、文春文庫、1983.12.25 「もっと広く!(下)」開高健著、文春文庫、1983.12.25

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2010/04/25

開高氏のエッセイ。幼少時代~大学時代まで。 文学の世界や自然世界に魅了されて過ごした思い出や、戦後の働きづめだった思い出。 氏の目を輝かせていた日々や、悶々としていた日々が描かれている。 一読して、氏のとても繊細で過敏な気性を感じることができるけれども、どれだけの暗い言葉や...

開高氏のエッセイ。幼少時代~大学時代まで。 文学の世界や自然世界に魅了されて過ごした思い出や、戦後の働きづめだった思い出。 氏の目を輝かせていた日々や、悶々としていた日々が描かれている。 一読して、氏のとても繊細で過敏な気性を感じることができるけれども、どれだけの暗い言葉や表現を目にしても、なんだか愉快で笑えてくるのが不思議でならない。 ひょんな成り行きで、お金も未来もない贋大学生(=開高氏)が、結婚するはめになってしまうエピソードなどは、とっても愉快爽快。

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