語源随筆・江戸のかたきを長崎で の商品レビュー
語源の世界は奥が深い。たどっていくと意外な事実が明らかになったり、刑事コロンボでも解けないくらい謎に満ちていたりと言った具合だ。 そんな語源をテーマにしたのが今回の本だ。1989年以発行されたものだが、今読んでも興味深い。 この本に載っている言葉で一連のトランプ...
語源の世界は奥が深い。たどっていくと意外な事実が明らかになったり、刑事コロンボでも解けないくらい謎に満ちていたりと言った具合だ。 そんな語源をテーマにしたのが今回の本だ。1989年以発行されたものだが、今読んでも興味深い。 この本に載っている言葉で一連のトランプが巻き起こしている騒動を表すと言えば、「めんくらう」だ。大言海と言う辞書曰く、「橡麺棒(とちめんぼう)を食らう」の略だという説を出している。慌てふためくさまを言い表しているとある。あのトチルと言う表現は、元をたどるとトチ、トチメク、トチメンボウにたどり着くと大槻文彦博士が述べたそうだ。 大統領になってからもキレ芸を売りにした「ツイッター芸人」を続けて調子に乗って、そのうち共和党から村八分になってしまわないかと思ってしまう。村八分と言う言葉は、「仲間からはねのける」の意味だと「綜合日本民俗語彙」は説明している。「はちぶ」とは何か気になるが、「はちぶす」という他動詞について、「人を忌み嫌う」とだけ「大言海」や平凡社の「大辞典」に出ているだけで由来について触れていないと著者は指摘している。 今の寒い季節にぴったりなのがおでん。その「おでん」は、もともと室町時代前後から宮廷の女官たちが使い始めた「女房ことば」の一つだそうだ。「でんがく」をはじめの二音節だけに略して、それに「お」をつけて五感をぼかして上品に見せるための表現と著者が述べている。思いもよらないところからできているなあ。 言葉の語源を探るのは知的エンターティメントだな。
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