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日本の農村に何が起こったか の商品レビュー

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2012/04/25

英伸三さんから新刊の写真集「桜狩り 昭和篇」を頂いた。 4年前、英伸三さんの写真展を図書館で開催したご縁。 英さんのドキュメントフォト「農村電子工業」シリーズは、高度成長期に長野県伊那谷の農村に工業化の波が押し寄せる様子を記録している。この本にはその写真群が掲載されている。 廉...

英伸三さんから新刊の写真集「桜狩り 昭和篇」を頂いた。 4年前、英伸三さんの写真展を図書館で開催したご縁。 英さんのドキュメントフォト「農村電子工業」シリーズは、高度成長期に長野県伊那谷の農村に工業化の波が押し寄せる様子を記録している。この本にはその写真群が掲載されている。 廉価で勤勉な労働力を獲得すべく、農村に進出した電子部品産業。農村に下請け、孫請けの工場が生まれ、農村の主婦は内職仕事を手にした。 農家の納屋が電子部品会社の下請け工場となり、農家の主婦は、はじめて家を出て働いた。はじめて自分の使える現金を手にした。農家の現金収入はそれまで年に2ー3回の繭の出荷と田のある家は秋の米の出荷のときのみ。財布は舅が握っていたのだ。 その金で子どもらは高校へ、大学へ進み、都会で働くようになった。そして帰ってこなかった。団塊の世代である。 当時納屋工場で働いたKさんは「家から出られるのと、お金を稼げるのがうれしくて、うれしくてね」と語っていた。 英さんは農村崩壊の問題提起のためにドキュメントフォトを撮影したのだが、今その写真をみると、被写体の農村婦人の輝く表情が印象的だ、と語っていた。 (ひーさん)

Posted byブクログ