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貝になった男 の商品レビュー

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2022/11/25

私の読んだのは単行本版ですが・・・ →https://blog.goo.ne.jp/rekitabi/e/b93e71adb90f3a376856786cd583c8b0 「歴タビ日記」「上坂冬子『貝になった男 直江津捕虜収容所事件』から

Posted byブクログ

2012/09/05

(2009.08.24読了) 副題が「直江津捕虜収容所事件」です。この本も、BC級戦犯裁判に関する本です。 上坂さんの書いたBC級戦犯裁判関連の本は、下記の4冊あるようです。 「生体解剖 九州大学医学部事件」上坂冬子著、毎日新聞社、1979年12月 「巣鴨プリズン13号鉄扉」上坂...

(2009.08.24読了) 副題が「直江津捕虜収容所事件」です。この本も、BC級戦犯裁判に関する本です。 上坂さんの書いたBC級戦犯裁判関連の本は、下記の4冊あるようです。 「生体解剖 九州大学医学部事件」上坂冬子著、毎日新聞社、1979年12月 「巣鴨プリズン13号鉄扉」上坂冬子著、新潮社、1981年3月 「遺された妻 横浜裁判BC級戦犯秘録」上坂冬子著、中央公論社、1983年4月 「貝になった男 直江津捕虜収容所事件」上坂冬子著、文芸春秋、1986年8月 (「残された妻」以外は、手元にあるので8月中に読むつもりです。) BC級戦犯裁判は、上坂さんにとってこだわりのあるテーマだったのでしょう。 取材の順に従ったような書き方になっているので、読み手は著者と一緒に成り行きを見てゆくという感じです。 ●取材の動機(10頁) なぜ私が直江津に強い関心を持ったかというと、戦後、ここで働いていた日本人の中から、8人もの人が戦争犯罪人として絞首刑に処されたからだ。国内の捕虜収容所としては、処刑された人の数がもっとも多い。いったい何があったというのだろう。さらにもう一つ、8人の部下が絞首刑になったというのに収容所長は終身刑で、12年の獄中生活を送った後無事に家族のもとに戻っている。陸軍中尉だった所長はどんな人で、なぜ生きながらえることができたのか。 ●ドラム缶の直撃(21頁) 1945年8月28日、捕虜収容所上空にアメリカの飛行機がやってきて、捕虜に救援物資をドラム缶に詰めパラシュートで投下した。そのうちのいくつかが民家を直撃したり、人の上に落ちたりして死亡者や負傷者が出た。アメリカからは何の謝罪もなかった。 ●シンガポールから直江津へ(24頁) 1942年12月10日、シンガポールから長崎を経由して約300人のオーストラリア兵が直江津に着いた。捕虜は、日本ステンレス、信越化学、日本曹達、鉄道と港湾荷役の会社で働かされた。虐待と栄養失調と極寒という悪条件が重なって一年後には300人のうち50人余りが死亡した。(公判記録からのものなので、実際にそうであったのかは別のこと) 1944年3月以降は死者が出ていません。1945年になるとアメリカ、イギリス、オランダの捕虜400人が送り込まれ物理的に居住が脅かされる結果となった。 ●収容所長の部下8人に対する絞首刑判決減刑嘆願書(142頁) 減刑嘆願理由 一、捕虜の供述は事実無根が多い 二、多少の殴打はあったろうが、収容所は基本的に言って捕虜の保護施設だったと確信している 三、気候温暖な国の兵が、新潟のようン寒冷地に来れば肺炎が続出するのは当然だ。責任は無神経な配置を決めた上部にある 四、下士官兵及び軍属は命令通りに動いていた。彼らの罪は、すべて上官にある 五、本件に関して絞首刑の判決は、他と比較してあまりに過酷である 「直江津捕虜収容所事件は、チズルム大尉が市ヶ谷の東京裁判で針小棒大に日本側の捕虜虐待行為を述べたのに端を発している。これを立証せねばならなくなったために事実を誇張し、8人もの極刑を出すことによって辻褄を合わせたのだ」(145頁) ●収容所長が絞首刑にならなかった理由(170頁) 「所長は足掛け三年間、殆ど何もせずに所長室に籠っていたのであろう。捕虜に対して命令も下さず、指揮もせず、もちろん制裁も加えぬという態度を押し通したばかりか、日本人部下に対しても褒賞や激励を一切加えず、ただ定刻に出勤して定刻に帰るという生活だったと思われる。東に虐待があったと聞けば、そういうことはしてはならぬといい、西にクリスマス・パーティがあれば、無表情で出席し、あとの時間は窓を閉じドアを閉めて部屋に籠っていたのである。」 戦時にあっては、なにもしないというのは「強い意志」の表れということです。 (2009年8月30日・記)

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