人間に宗教はなぜ必要か の商品レビュー

古田紹欽【著】

2009/10/07

「諸行無常」などと申しますと、いかにもじめじめしたいやな感じがして、若いお方などは、仏教は陰気くさく、じじくさく、ばばくさい教えのようにお考えであろうと存じます。そのとおりでございますが、「諸行」が「無常」である、つまり、ありとあらゆるものは永久に不滅に存在することは有り得ないということ、これは真理であり、そういうより外はないのであります。

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経済大国ニッポン。物質的な繁栄のかげで家族制度の崩壊、あらゆる権威の失墜が始まっている。心のより所をなくし孤独に陥ることをおそれる現代人。そんな心に誤まった宗教観を流布している新興宗教がしのび寄る。では、正しい宗教とは何か?それは「自我を捨て修練によって自己を究めて自己を生かすと同時に他人を生かすことにある」。禅仏教界の泰斗が説く、仏教の心についての珠玉エッセイ。
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論点は、『人間に宗教はなぜ必要か』というよりは『仏教(大乗仏教、禅)が現代に必要とされる理由、それを通じた仏教の紹介』。
仏教を推奨する側からの論なので少々理論が飛躍し過ぎでは？という部分も有りますが、
全体的には中立的であり筆者の語り口も優しく読みやすいです。