アルハンブラ の商品レビュー
モロッコからジブラルタル海峡を渡ってグラナダに入り、アルハンブラを訪れる佐伯泰英さんの旅路(エピソードと様々な出会い)と、グラナダのイスラム王朝の終焉(勝者の身勝手と敗者の悲運)が、つづれ織のように交互に語られ、歴史の彼方の夢幻に誘われます。 巻頭に写真が載っていますが、同じく佐...
モロッコからジブラルタル海峡を渡ってグラナダに入り、アルハンブラを訪れる佐伯泰英さんの旅路(エピソードと様々な出会い)と、グラナダのイスラム王朝の終焉(勝者の身勝手と敗者の悲運)が、つづれ織のように交互に語られ、歴史の彼方の夢幻に誘われます。 巻頭に写真が載っていますが、同じく佐伯さんの「新アルハンブラ物語」(とんぼの本)を一緒に開きながら読んで、旅ムードを高めてみました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
今春訪れたスペインのアルハンブラ。 その回想とともに、今一度その歴史を辿りたいと思ったその時に、 この本が手元にやってきた。 日本では「アルハンブラ宮殿」の愛称で知られるこの地を訪れたときに感じた、なんともいえないその言葉とのズレのような感覚が、この本の中で明らかになった。 「アルハンブラは、中世ヨーロッパ各地に建設されたストラスブルグやエジンバラと同様、城壁に囲まれた城郭都市と解するべきであろう。」 シエラネバダ山麓を望み、ダロー河とヘニル河の流れが交差するサビガの丘に建つアルハンブラは、ベガとよばれる肥沃な大地を見渡す。 イスラムとキリスト、そしてユダヤとジプシーという宗教と人種のことなる人々に翻弄された街。そのどこか物悲しさを秘めた静けさに美しさを感じる。 大航海時代のコロンブスの話と織り成して編んでいく手法に、 スペインのその歴史と、香辛料を追ってアメリカ大陸発見へとつながる世界が広がっていく。 そして世界はどこかでつながっていく。 一思いに読みきってきまった。 私も石榴の実が好きだが、次回食べる時にはアルハンブラを想い、一息置いてみたいな気がする。グラナダとはスペイン語で柘榴の実を意味する。 行ったことのない人に、どのようにその魅力を伝えたらいいのか考える時があるが、この本を読んで思ったのは、行ったことがある人にしか分からない魅力があるということだった。
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(2006.09.14読了)(2005.11.13購入) アルハンブラ[(スペイン) Alhambra] 〔アラビア語で「赤い王城」の意〕スペインのグラナダ郊外にある宮殿。イスラムの支配中、一三世紀から一四世紀にかけて建設。華麗なアラベスク装飾を有し、イスラム建築の極致とされる。...
(2006.09.14読了)(2005.11.13購入) アルハンブラ[(スペイン) Alhambra] 〔アラビア語で「赤い王城」の意〕スペインのグラナダ郊外にある宮殿。イスラムの支配中、一三世紀から一四世紀にかけて建設。華麗なアラベスク装飾を有し、イスラム建築の極致とされる。「大辞林 第二版」 スペインは、イタリアの次に魅惑的な国だ。マドリードとトレドしか行ってないので、バルセロナとかグラナダにも是非行ってみたいとは思うけれど、先立つものがないし、体力も大分なくなってきた。 せめて写真を見たり、本を読んだりして、魅力の一端を楽しみたい。 著者は、カメラマンだったはずがいつの間にか作家になり、さらには時代劇を書いているので、二度びっくりしてしまった。(先日新聞に広告が出ていた。) 著者の現地体験を織り交ぜながら、なぜイスラム教徒は、スペインを追い出されることになったのかを説いている。著者は、イスラム教徒たちがスペインを追われて、渡って行ったアフリカの地、モロッコのフェズにも足を伸ばしている。ロルカの詩が時々引用されているが、残念ながら詩を解する文学的感性に乏しい僕には、伝えたいものが伝わってこない。コーランも引用してある。「聖書」もちゃんと読んでないけど、そろそろ「コーラン」を読んでみようかと思う。 ●イスラムのスペイン支配の始まり(7頁) 711年、北アフリカから、イスラムの北西アフリカ太守ムーサー・ブン・ヌサイルの将軍タリーク・イブン・ジヤードが総勢7千人の軍勢を率い、ジブラルタル海峡を渡ってイベリア半島の南端タリファに上陸した。 これらのイスラム教徒たちは、当時イベリア半島を支配していた西ゴート王国を破って、長くスペインにおけるイスラム支配を確立する。 ●イスラムのスペイン支配の終わり(11頁) 1492年1月2日。アルハンブラの主、ボアブディルがアラゴンのフェルナンド王、カスティリアのイサベル女王夫妻の前に降伏のために現われ、イスラムのスペイン支配は終了した。 ●ユダヤ人追放(61頁) イサベル女王は、1478年、異端審問所をセビリアに設置した。キリスト教に改宗したユダヤ教徒が、異端審問で、改宗が虚偽であると断が下されると、火刑、財産没収、国外追放などの極刑がまち受けていた。ユダヤ教徒の財産を没収して、対イスラム戦の戦費に当てていた。カソリック両王は、1492年3月31日、アルハンブラ宮殿で、その年の7月末までにユダヤ人を追放する勅令に署名した。 ●都市とは(74頁) 国家は、終局的には都市の建設に向かうものであると同時に、定住生活は民族の終着点であり、そこにおいて文化は停滞し始め、堕落し、悪が栄え善は滅びる(イブン・ハルドゥーン) ●ジプシー(78頁) 漂泊の民ジプシーの移動は、1398年9月のモンゴルのティムル大王の軍団の侵略開始と一致する。彼らはペルシャ、トルコと追われて、ヨーロッパに入り、1427年8月17日、パリに姿を現した。 ●柘榴の実(131頁) グラナダの町に、柘榴の実はよく似合う。柘榴の実をスペイン語でグラナダという。 ☆佐伯泰英の本 「闘牛」佐伯泰英著、平凡社新書、1976.08.08 著者 佐伯 泰英 1942年 北九州市生まれ 闘牛カメラマンとして海外で活躍後 国際的スケールの作品を次々と発表 1999年に初の時代小説『密命 見参!寒月霞斬り』を発表 (「BOOK」データベースより)amazon スペイン南部アンダルシアの古都グラナダにそびえる“赤い城”―アルハンブラ。タイルや大理石が造るアラベスク模様と、鐘乳石飾りのドームが、ふんだんに水を湛える池や噴水を配した静謐なパティオの周囲に建ちならぶイスラム建築の精華だ。十五世紀末、イベリア半島におけるイスラム勢力最後の砦として歴史の興亡の舞台となったアルハンブラを、カメラとペンで抒情豊かに描いた傑作ノンフィクション。
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