唯脳論 の商品レビュー
すべては脳のなかで起こっている。私達が暮らしていくために使う触角・味覚・視覚・聴覚・嗅覚はすべて脳が、神経からの電気信号を受け取って我々に感覚として受け渡しているのである……という東大の解剖学教授の目から鱗の講釈の数々。随所にSF的志向があって大変刺激的でした。
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脳は、人間の器官の中で最も不可解で謎が多い部分だ。医者や解剖学者は、哲学や宗教とは無縁に、人をタンパク質の塊と見る視点が必要になるが、それでもやはり、脳だけは魂や哲学と切り離して考えることが難しい部分だと思う。著者は、出来る限りシンプルに、解剖学者としての立場から客観的に脳という...
脳は、人間の器官の中で最も不可解で謎が多い部分だ。医者や解剖学者は、哲学や宗教とは無縁に、人をタンパク質の塊と見る視点が必要になるが、それでもやはり、脳だけは魂や哲学と切り離して考えることが難しい部分だと思う。著者は、出来る限りシンプルに、解剖学者としての立場から客観的に脳というものを語ろうとしている。その冷静な語り口には、人間の知性の偉大さを感じさせるものがある。 われわれがサルをよく理解するのは、われわれの脳の中に、ともあれサルの脳があるからである。イモが欲しいという、サルの動機ぐらい、ただちに理解できる。その意味では、計算機の中をわれわれはほとんど理解しない。(p.89)
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