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左ききの女 の商品レビュー

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2019/10/28

絶対音感という音楽用語があるけれど、これは絶対情感の世界とでもいうべきか、よくも悪くも夾雑物が一切ないクリアな世界。邦訳文はそれを的確に感じとらせてくれ、読みやすい。 孤独がテーマなのだろう。 小説だが、映像的で、ほぼ会話と描写から成立しており、ハントケが脚本家でもあるという肩書...

絶対音感という音楽用語があるけれど、これは絶対情感の世界とでもいうべきか、よくも悪くも夾雑物が一切ないクリアな世界。邦訳文はそれを的確に感じとらせてくれ、読みやすい。 孤独がテーマなのだろう。 小説だが、映像的で、ほぼ会話と描写から成立しており、ハントケが脚本家でもあるという肩書きはなるほどと思わせられる。 息詰まるようなストーリー展開であるにも拘わらず、途中で読むのが嫌にならないのは、作者の真摯さ、誠実さ、人間的な温かさが読者にも伝わってくるからだろう。 後半部は幾分緊張感が緩み、結末を急ぎすぎた感もあるが、純文学作品らしい手応えのある作品。

Posted byブクログ