一弾で倒せ! の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
細かな設定まで微に入り細を穿つ、という印象。イスラエル・シリア・レバノン、今でも内紛が絶えない地域を舞台に設定していることもあってか、小説内の世界が実感として伴ってくるような感覚になる。かといって設定ばかりが先行して人物描写が疎かになっているわけではなく、こちらも丁寧に描かれている。主人公達の標的になる犯人の心理描写が感慨深かった。敵と相対すれば、どのような攻撃も辞さない、と覚悟していた人間が、胸の奥底に秘めた恐怖。彼にとっての平和は得たものではなく、作られ与えられたものだと知った時の失望。読み進めている時は、次の展開が待ち遠しくてページを矢継ぎ早に捲った。しかし、読み終わった今は、ただ想像する。失望と希望は比例するものかもしれない、と。
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