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日本探偵小説全集(12) の商品レビュー

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2024/05/31

贅沢な一冊。 戦前ミステリーの傑作と名高い「船富家の惨劇」が気になり購入したが、収録作全て良かった。 今とまったく違う戦前の雰囲気が味わえる。当時ならではのトリックの数々。科学捜査の走り。 前菜、メイン、デザートといった雰囲気が味わえるので収録順に読むのがお勧め。 巻末付録の充実...

贅沢な一冊。 戦前ミステリーの傑作と名高い「船富家の惨劇」が気になり購入したが、収録作全て良かった。 今とまったく違う戦前の雰囲気が味わえる。当時ならではのトリックの数々。科学捜査の走り。 前菜、メイン、デザートといった雰囲気が味わえるので収録順に読むのがお勧め。 巻末付録の充実ぶりも素晴らしく、最後の1ページまで読み物、活字を堪能できる。 800ページほどの分厚さにやや難儀。序盤と終盤で厚みのバランスが変わるのでうっかり落としそうになるほど。

Posted byブクログ

2015/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『赤いペンキを買う女』 銀行から社員の給料を受け取り会社に戻る途中の車で絞殺された吉屋。犯人である小田を車に呼び寄せていた吉屋。首を絞められ車から突き落とされた運転手の証言。普段とは違う道を通った理由は目印のポストの位置。顔を潰された吉屋の遺体。 『とむらい機関車』 人身事故をたびたび起こす機関車。ある時運転士の長田が人身事故の被害者を弔うために花輪をつけて運行する。度重なる豚の轢死事件。助役の片山による捜査。犯人と思われる葬儀屋に行き当たるが。自殺した葬儀屋の娘から長田に宛てた手紙。 『三狂人』 赤沢病院に入院する精神病患者。足で壁を叩く「トントン」、歌を歌う「歌姫」、顔に包帯をまく「怪我人」。「脳ミソを入れ換えろ」と怒られる患者。赤沢医師の脳を盗んで逃亡した三狂人。頭を列車にひかれて死んだトントン。トントンの遺体の足をみた松沢医師の推理。 『寒の夜晴れ』 クリスマスイブに浅見三四郎宅で起きた殺人事件。妻の比露子と親戚の男・及川が殺害され息子が連れ去られた。窓から雪の上に残ったスキーの跡を追うが消えた空に上がったように消えた跡。田部井氏の推理。 『三の字旅行会』 東京駅の赤帽・伝さんが気付いた三の字の荷札。必ず3時着の3等車の3番目の車両から下りる婦人団体の荷物についている。不審に思い荷物を運ぶ男を問いただすと、語られる三の字旅行会の秘密。 『船富家の惨劇』 ある旅館で殺害された船富弓子。夫・隆太郎も殺害されたと思われるが血痕のみで遺体はなかった。容疑をかけられた船富の娘・ 由貴子の元婚約者の滝沢を救うために依頼された南波探偵の捜査。捜査に協力する滝沢ね有人で現在の由貴子の婚約者・須佐。同じ宿に泊まっていた岩瀬と名乗る男。顔や指紋を潰された隆太郎らしき遺体の発見。隆太郎が生きている可能性を捜査する南波。隆太郎の共犯らしき遺体の発見。由貴子の絞殺事件。海外から帰国した赤垣滝夫の推理。犯人に踊らされる南波。 『霧しぶく山』 友人の久我と登山中に木に吊るされた遺体を発見した私。遺体から出てきた犯罪の告白書。礼二、泰二の二人を殺害し留美という女を拉致した普二朗。行方をくらませた久我。断崖で発見した二つ目の遺体。洞窟内で発見した留美。直後に断崖から何者かに突き落とされた案内人の久麻助。殺人者・普二朗は生きているのか?

Posted byブクログ