仏教の国家観 の商品レビュー
タイトルの『仏教の国家観』に内容が徹しきっていません。目次を見れば分かると思いますが、最後の日本の国家観に至るために、西洋、中国の特定の時代の国家観に触れ、仏教が国家にいかに関わってきたかはそのオマケ程度の扱いに感じられました。筆者は太平洋戦争で苦渋をなめた世代らしく、そうした過...
タイトルの『仏教の国家観』に内容が徹しきっていません。目次を見れば分かると思いますが、最後の日本の国家観に至るために、西洋、中国の特定の時代の国家観に触れ、仏教が国家にいかに関わってきたかはそのオマケ程度の扱いに感じられました。筆者は太平洋戦争で苦渋をなめた世代らしく、そうした過去の苦い経験が、国に一言物申したいという思いを、仏教を隠れ蓑にして、書かしめたのかという印象を受けました。もとより、日本は東南アジアの仏教国のように仏教が文化生活に広く方向付け、根付いた国ではなく、葬式仏教と呼ばれるように、文化のある一領域だけ要請され受け入れられている国です。そのような日本仏教と国とのドラマチックな関係など望むべくもなかったかというのが自分の感想です。
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