東京現象 の商品レビュー
日本の首都であり、経済や文化などで影響力のある東京。 時代が変わっても東京に人が集まってくる。 「東京現象」について著者は以下のように説明している。 人びとの欲望とイメージの、あるいは集合表象の、さらには共同幻想の、現象化でもある。人は、みずからの幻...
日本の首都であり、経済や文化などで影響力のある東京。 時代が変わっても東京に人が集まってくる。 「東京現象」について著者は以下のように説明している。 人びとの欲望とイメージの、あるいは集合表象の、さらには共同幻想の、現象化でもある。人は、みずからの幻想の集合的具象化に魅せられるらしい。 さらに「東京現象」について説明している。 東京だけに見られる現象ではない。多くの都市社会で起こりうる現象なのだ。消費するしかない時間と所得を手に入れた人びとが浮遊する空間、そこに「東京現象」を作り出している。 国内外の様々なモノや情報が集まり、しかも血縁や地縁に縛られた地方と違い、自由で匿名の個人として生きていくことができるので、息苦しさを感じている人にとって、キラキラした空間となる。 この本が出版されたのは1989年。 2023年の「東京現象」はどのように変わっているのかな。
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1989年発行の東京を中心とした若者分析。 著者は1933年生まれだから50代半ばに書かれたもの。 初出は1985から88年。 バブルが進む時代に若者の行動をどのように”理解”すべきかという要望に応えるべくこの手の本が当時は出たようだ。 その分析で”旧人類”は理解を深めることでは...
1989年発行の東京を中心とした若者分析。 著者は1933年生まれだから50代半ばに書かれたもの。 初出は1985から88年。 バブルが進む時代に若者の行動をどのように”理解”すべきかという要望に応えるべくこの手の本が当時は出たようだ。 その分析で”旧人類”は理解を深めることではなく溜飲を下げることに時間を費やした。 2022年現在から振り返ると、1970年前後つまり全共闘世代の意識変化から続く前近代から近代への移行に伴う時代変化と読み取れると思うが、当時は父権主義が衰退して彷徨う時代になって、戸惑う空気が濃厚にあらわれている。特に著者の世代では、本後半部分に現れる「嘆き節」が時代の空気だったのだろう。
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