デタントの成立と変容 の商品レビュー
米ソ軍拡でソ連の経済は疲弊した。 ソ連は国民に対してソ連が優越にあるような報道をしていた。現代ではそのような偽情報に騙されるような国家は北朝鮮くらいだろうが、当時はまだそのようにして国民や同盟国を騙せた時代だった。
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もう、人類の記憶の彼方に消えて久しいが、かつて冷戦というものがあったらしい。その時代は、アメリカとソ連という二国が、互いにいがみ合っていて、戦争=核戦争=人類滅亡という危機がいつもあったらしい。 とはいえ彼らはいつも人類滅亡を意識して生きていたわけではなさそうだ。そうであれば、神...
もう、人類の記憶の彼方に消えて久しいが、かつて冷戦というものがあったらしい。その時代は、アメリカとソ連という二国が、互いにいがみ合っていて、戦争=核戦争=人類滅亡という危機がいつもあったらしい。 とはいえ彼らはいつも人類滅亡を意識して生きていたわけではなさそうだ。そうであれば、神経症で人類は滅んでいるだろう。なのに我々は未だに存続している。それは長い45年の間に、冷戦の終わりが何度も意識されてきたことにも関係があるように思う。 本書はデタントのrise and fallについての一冊である。 1985年に出版されたとあるから、まだゴルバチョフが出てきたあたりの、冷戦最中に書かれた。だからその記述には不確実なところが多いし、特にソ連内部の力学に関しては全く物足りていない一方で、随分と今後の展開に良いイメージを抱いているように感じる。 本書では、デタントを4つの段階で説明する。それらは55年のジュネーヴ精神に59年のキャンプ・デーヴィッド精神、62年のミサイル危機に、71年のモスクワ・デタント(ニクソン・ショック)の4つであり、それらがどのように起こり、そしてどのようにその後に展開したのかを、アメリカとソ連の政治力学から見る。読めば解るとおり、それぞれにデタントの遺産が何であるかを描くが、だんだんと互いの関係性が強固なものになってきている。言い換えると、初めは単なる外交可能になったというところから、法的な結束にまで高めあっていることが解る。 それはある種の希望が描かれているのだろう。 ただ本書は冷戦が終わっていない中でのものである以上、評価するには早すぎた嫌いもあろう。それは残念。
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