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桜島・日の果て・幻化 の商品レビュー

4.3

16件のお客様レビュー

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2017/02/27

島で魚釣りをする話?の短編を読んで梅崎春男に興味を持った。この小説では戦争体験が多く、共感しづらい点も多く。ただ、独特な視点からの細かい行動描写、心情描写はさすがでありました。暗い内容が多い様子。

Posted byブクログ

2016/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『桜島』では、広島への原子爆弾投下を示す「大きなビルディングが、すっかり跡かたも無いそうだ」「全然、ですか」「手荒くいかれたらしいな」「どこですか」「広島」の淡々とした会話が印象的でした。玉音放送は「何の放送だった」「ラジオが悪くて、聞こえませんでした」「雑音が入って、全然聞き取れないのです」は、実際どこもがそのような状況だったのではないかと思わせます。『日の果て』はラストが鮮烈でした。『幻化』は、精神病患者の逃避行なのですが、死の影が絶えず付きまとっている印象を持ちました。

Posted byブクログ

2014/10/19

死と向き合う。生きる意味を考え直す。幻化にはそんなキーワードが見えてくる。主人公に昔生きた土地をたどらせる行為は、晩年の作者の意思の表れか?阿蘇の淵に立つ男に、「歩け」と「飛び込め」の相反する思いを投げかけ、実は自分自身に投げかけている思いではないか、と思わせているところに、作者...

死と向き合う。生きる意味を考え直す。幻化にはそんなキーワードが見えてくる。主人公に昔生きた土地をたどらせる行為は、晩年の作者の意思の表れか?阿蘇の淵に立つ男に、「歩け」と「飛び込め」の相反する思いを投げかけ、実は自分自身に投げかけている思いではないか、と思わせているところに、作者からのメッセージが込められているような気がする。

Posted byブクログ

2011/01/08

先生に勧められて読んだ本。 表題の3篇の他に、梅崎のデビュー作「風宴」が入っている。 代表作の「桜島」もよかったけれど、私がとても好きだと思ったのは晩年に執筆されたという「幻化」だ。 東京の精神病院から脱走してきた男が、戦争中に軍務に服していた南九州へと向かう。奇妙な同行者といっ...

先生に勧められて読んだ本。 表題の3篇の他に、梅崎のデビュー作「風宴」が入っている。 代表作の「桜島」もよかったけれど、私がとても好きだと思ったのは晩年に執筆されたという「幻化」だ。 東京の精神病院から脱走してきた男が、戦争中に軍務に服していた南九州へと向かう。奇妙な同行者といっしょになったり、一人になったり、土地の子どもと知り合ったりしながら、戦争中の記憶をたどっていくのだ。 自分が異常なのか正常なのかわからない。 何から逃げているのか、どこへいくのかわからない。 何もかもがはっきりしないまま、はっきりさせようともしないまま、かつての記憶に現在の人々を重ね合わせるように、人と出会い、別れながら移動を続ける男の物語だった。

Posted byブクログ

2009/10/04

「ぼんやり焔の色を見ていた。焔は、真昼の光の中にあって、透明に見えた。山の上は、しんと静かであった。物の爆ぜる音だけが、静かさを破った。兵隊が話し合う声が、変に遠くに聞えた。なびく煙の向うに、桜島岳が巨人のようにそびえていた」(「桜島」)。いいなあ、この文体。

Posted byブクログ

2009/10/04

梅崎春生,生涯の作品のどれも,すこし鬱気味で,虚無的なトーンに染まっていて,それでいて渋いユーモアに満ち満ちていて大好きです。

Posted byブクログ