敗因を衝く の商品レビュー
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1989(底本1946)年刊。東京裁判検察・弁護側双方の証人たる著者の回想録。不思議なことに、2章までは時制が現在形。明記されてないが、自身の戦中日記をベースにしているのか、とも推測できる。著者が反東条派なので、東条英機への感情的痛罵は閉口するが、彼の憲兵の親玉の実相が知れる(ミッドウェー海戦後、情報漏洩要因を国内スパイとみて憲兵を大量動員。結果は無意味)。また「昭和16年夏の敗戦」とも内容的に符合する等、単なる感情的反発の書に止まってはいない。当時の陸軍主流が米国の実力を過小評価していた点も良く判る。 憲兵制度やその実態、あるいは企画院の実態を、日本史研究者のどなたか研究してくれないかなぁ。ともかく、単に声がでかいだけの、根拠を考えない人間にはなりたくないと痛感させられる書である。
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