ガルブレイスを読む の商品レビュー
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1998年刊。著者は千葉大学経済学部教授。◆アダム・スミスから連綿と続く市場経済主義にケインズ流経済学を加味する戦後経済学の本流=サミエルソンに対し、ガルブレイス経済学は異端扱いされる。それも当然。彼は新古典派経済学が捨象し不問に付した領域から批判を展開したからだ。つまり著者曰く、ガルブレイスは非経済学的視座、政治学的・社会学的・心理学的要因を重視して、「超学的」アプローチを展開。◇中でも市場経済、見えざる手に対して、現実から見た懐疑を正面からぶつけるのは非ケインズ・マネタリストへの舌鋒鋭い批判にも結実。 ◇独占概念など、俄に首肯しがたい見解も開陳される。が、少なくとも、理論に反する現実に対して、現実を誤りと見がちなだけでなく、それで事足れりとするマネタリスト。かかる教条主義的色彩の濃い立場よりは、現実に生起した問題点に正面からぶつかって思考を格闘させたガルブレイスの態度の方に、遥かに強い親近感を覚える。◆本書は、ガルブレイスの著作を発刊順に並べて、レビューしつつ、ガ流経済学の根幹とその思索の変遷を解説する。
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