無所属の時間 の商品レビュー
山本書店店主、評論家の筆者が、様々なテーマについて、短く論じたエッセイ集。 78年に書かれた本であるので、各テーマについてはさすがに古さを感じてしまうが、その背後にある本質は、実は年月が流れても変化していない部分も多いのだということを、本書を通して教えてもらった。 日々色々な出来...
山本書店店主、評論家の筆者が、様々なテーマについて、短く論じたエッセイ集。 78年に書かれた本であるので、各テーマについてはさすがに古さを感じてしまうが、その背後にある本質は、実は年月が流れても変化していない部分も多いのだということを、本書を通して教えてもらった。 日々色々な出来事がある中で、右往左往してしまいがちだが、少しは俯瞰して物事を捉えられるような気がする。 最後に2度に渡って出てくる、何かに「なる」のではなく、何かを「する」人間たれ、という指摘は、目から鱗だった。 上記は、無意識に、自分の行動の理由や、自分や他人に対する評価の基準になっていたように思うのだけれども、こうして明快な言葉にしてもらうことで、はじめて腑に落ちた感じがした。
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―――――――――――――――――――――――――――――― 「一国が戦争で滅亡することはない」これは太平洋戦争という苦い体験から得た一つの教訓であろう。確かに、史上には、一見、戦争で滅亡したように見える国もあるが、よく調べてみると本質的には「自壊」であって、戦争はただ「とどめ」...
―――――――――――――――――――――――――――――― 「一国が戦争で滅亡することはない」これは太平洋戦争という苦い体験から得た一つの教訓であろう。確かに、史上には、一見、戦争で滅亡したように見える国もあるが、よく調べてみると本質的には「自壊」であって、戦争はただ「とどめ」であったにすぎないことがわかる。 ベトナムもそれを証明している。サイゴン政権は自壊し、解放戦線はその清算人として乗り込んだにすぎない。157 ―――――――――――――――――――――――――――――― なぜ彼らは押して。われわれは引くのか、私には今でも、この理由がわからない。 戦後、いわゆるアメリカの指示に基づく"民主主義"の原則で、鉋や鋸を押している例が多々あることと思われる。173 ―――――――――――――――――――――――――――――― 日本を背負って立つとか、乃公出でずんば、とかいった感じが先生には一切なくて、文字通り、自分の中に溢れ出るものがあったら人に語る、そうでなければ生涯沈黙していい、先生はこういう態度で一生を通されたと思います。203 先生はどんなときでも、これは人に語る基準、これは自分が生活する基準、というふうに基準を分けておられない。204 ―――――――――――――――――――――――――――――― 人間は決して何かに「なる」と考えてはいけない。208 ――――――――――――――――――――――――――――――
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