中世が見た夢 の商品レビュー
ロマネスク建築は中世の人間の宗教的同系のあらわれではあったが、それは中世人の夢のあらわれでもあった。現代人にとっては夢は想像力が生み出すものに過ぎないが、中世人にとっては夢もまた現実であった。そのような夢を失った現代人は中世人の夢のなかに自分の夢を重ねようとする。それはいわば情念...
ロマネスク建築は中世の人間の宗教的同系のあらわれではあったが、それは中世人の夢のあらわれでもあった。現代人にとっては夢は想像力が生み出すものに過ぎないが、中世人にとっては夢もまた現実であった。そのような夢を失った現代人は中世人の夢のなかに自分の夢を重ねようとする。それはいわば情念にあこがれる心でもある。フランス革命のなかで多くの教会は破壊された。しかし著者は回廊の一部を外国に運んで保存する美術愛好家よりも破壊した農民や市民を好もしく思うのである。廻廊を破壊した農民や市民と廻廊を建築した修道士や石工とはその行為を促した強い信仰あるいは情念において相通ずるものがあるからである。
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