美の変貌 の商品レビュー

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2011/12/21

西洋美学思想の概説書。単に一人ひとりの思想家の学説を紹介するだけでなく、古代から現代に至るまでの美学思想の流れが把握できるような構成になっている。巻末には、主要な美学書の解題が置かれている。 本書は入門書に位置づけられるのだと思われるが、各執筆者の研究成果が盛り込まれていて、少...

西洋美学思想の概説書。単に一人ひとりの思想家の学説を紹介するだけでなく、古代から現代に至るまでの美学思想の流れが把握できるような構成になっている。巻末には、主要な美学書の解題が置かれている。 本書は入門書に位置づけられるのだと思われるが、各執筆者の研究成果が盛り込まれていて、少し発展的な内容までカヴァーしている。あえて難点を上げるとすると、現代の英語圏における分析美学が取り上げられていないことだろうか。あと、最終章の「イマージュをめぐるたゆたい―フランス、イタリアにおける現代美学」では、ベルクソンとクローチェの芸術論、レヴィ=ストロースの現代芸術批判とそれに対するエーコの反駁、さらにドゥルーズの芸術論が取り上げられているが、やや恣意的な選択だという気がする。執筆者の篠原資明氏の関心に基づいて取り上げられているのだろうが、他にも取り上げるべき思想家がいるはずだと思う。とはいえ、本書全体としては優れた美学の概説書だといってよいだろう。

Posted byブクログ