革命祭典 の商品レビュー

モナオズーフ【著】,立川孝一【訳】

2014/07/15

フランス革命時に「祭典」が持った独特の意味を析出する研究。革命祭典を政治権力のプロパガンダ手段としてのみ解釈する従来の研究を批判し、「連盟際」を人々の自然な結合として描き出したミシュレに依拠しつつ、祭典が独特の一体感を醸成する機能を果たしたことを論証している。とはいえ、キリスト教的シンボルの根絶、人類の理想の実現を謳う革命が、「理性」や「自由」を象徴的に表現し、革命時の暴力的な事件や死を記念するという矛盾しているようにしか思えない現象がここでは問われる。したがって、革命祭典の意味を問うこの研究においては、祭典の現象形態の記述だけではなく、革命の理念との関係でも祭典が問い直されている。