知らない劇場 の商品レビュー
夜の一時を過ごす男と…
夜の一時を過ごす男と女を描いた連作短編集。10の風変わりな物語を楽しめる。
文庫OFF
上質の短編集。短い間…
上質の短編集。短い間にドラマが詰まっています。筆者の力量を感じます。
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どれも、夜の9時~12時に繰り広げられる物語。 「鍋とエレベーター」はおもしろい発想でミステリー感があっておもしろかった。 「白猫マリアントワネット」は輪廻転生の物語。猫がその対象であり、ラストのオチも良かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
1985年に、月刊誌『オール讀物』に連載された連作短編を10編収録。 共通した登場人物がいるわけではなく、どの短編も夜の9時から12時までに起こる物語、という共通点がある連作です。全ての短編に共通はしないですが、マンションの一室が舞台になっているものが多いです。 ショートショートの名手である阿刀田氏の作品らしく、どの短編にも気の利いたオチがありますが、そのオチがあるからこそ、間延びしたショートショートを読まされている感じもしてしまいましたね。 以下は簡単に各作品の感想(一部ネタバレ)↓ 散歩学入門 大人の男女の一晩を描いたおしゃれ感がある一編。 海を買う男 泥棒が忍び込んだ先で出会う、夢のような出来事を描いた、ファンタジックな一編。 隣の女 タイトルから仕掛けがしてあるオチが全ての一編。 正直、オチが意外で驚きましたが、なあんだ、そういうことか、という呆れるようなオチでもありました。 妖しい鞄 サラリーマンが不思議な男と出会う、という阿刀田作品でお馴染みのパターンの一編。夢か現実かわからないようなオチが余韻を残します。 愛の終り 妻子ある男と不倫中の女を描いた一編。鬱屈した暗さがあります。 夜はくり返す ネタバレになってしまいますが、最後まで読むと、タイム・ループのような、あるいはただの勘違いなのか、わからなくなる不思議な一編。タイム・ループなら、そのジャンルとしては割と早い作品でしょうね。 高い窓 性格が暗く、思考がネガティヴな少年を描いた一編。暗くて悲しい物語なのにも関わらず、ラストに妙なカタルシスを感じさせてくれました。 鍋とエレベータ 男と女の別れ話を描いた一編。女が過去話をし始める中盤から、急にミステリーになります。 薔薇の扉 事故で体が不自由になった男の妄想と、その男の優しい妻の怪しい行動とを、ファンタジックに描いた一編。謎がはっきりと解かれずに終わりますが、妙な余韻が残ります。 白猫アントワネット 久しぶりに訪ねた叔母さんが、輪廻転生を信じるようになっていて、愛猫がマリーアントワネットの生まれ変わりだという主張を甥っ子が聞かされるという物語。 こじつけ的な主張が、オカルト好きの自分にも当てはまり、笑うに笑えないところもありました。 オカルト好きもオカルト嫌いも納得させるオチが秀逸です。
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