古い骨 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
フランス、モン・サン・ミシェル湾の干潟で、体の不自由な老人が満ち潮の危険に曝され命を落とした。老人の名はギヨーム・デュ・ロシェ。かつてレジスタンスの英雄だった富豪で、同日自邸のロシュボン館に親族を呼び寄せていたのだった。今回の招集の目的が知らされないまま彼の死に戸惑う親族たち。そして、館では古い人骨が発見され、親族の一人が急死するという不穏な出来事が続いた。フランス警察に講義に来ていた人類学教授のギデオン・オリヴァー博士が捜査に携わるが…。やっと読めた“スケルトン探偵”シリーズ。しかもこれはシリーズの1作目ではないらしいのだが(古本で)入手できたのがたまたまこの「ミステリアス・プレス文庫1」だった。シリーズものはできるだけ1作目から読むことを信条にしているものの、今回はよしとした(適当〜。面白かったからよし!)っと脱線。本書の内容は、序盤に出てくるデュ・ロシェ家の人々の名前と相関(親戚関係がややこしい)を覚えるのがちょっと苦だっただけで、あとは不満なし。主人公のギデオン・オリヴァー教授が人類学研究者として人骨を見ていろいろと推理していくというスタイル。人骨のスペシャリストが人体や骨を評価分析する場面も(こういう場合、某書のように蘊蓄だらけで読みにくくなりがちだがそうならず)くどくなくて専門的知識のない素人にも噛み砕いて記述されている(ワトソン役のジョン・ロウ(FBI捜査官)氏が共に行動しているため、分かりやすく説明するという設定が効いている)。むしろ蘊蓄を知る楽しみが付随しているのがいい。アメリカ人(ギデオン、ジョン)とフランス人(ジョリ警部)間で互いに生じる摩擦や先入観がユーモラスだ。特に博士と警部が持論の歩み寄りを見せ互いに認め合ったころ、「ギデオン」「ジョリ」とファーストネームで呼び合い始めたあたりのぎこちなさが個人的にツボ。ほかにも、眉間にしわを寄せずにすむユーモアがあちこちにちりばめられている。ギデオンが導き出した第一の推論、そしてみずからそれを覆した第二の推論を展開していく過程は、オーソドックスだからこその確実さを持っていて、初読の作者ながら安心して読み進めることができた。この安定感は意外に簡単には味わうことができないいぶし銀の技かも(いいすぎ?)。オーソドックスだからありがち=退屈、という訳ではなく、意外性はちゃんと用意されているので、最後までわくわく感は持続される。続き(というか1作目以降の前作)を読みたくなる魅力的なシリーズに出会えてよかった♪
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現在と過去(ナチ時代)の殺人を死体の骨から解き明かしていく大スケール探偵小説。最初の始まりが好きです。
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スケルトン探偵初登場。アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。 検死医ものが好きな人なら、きっと好きになるんじゃないかな? 主人公は人類学者。骨相学の専門家。残された骨から、犯人を割り出していきます。この薀蓄が楽しい。
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スケルトン探偵シリーズの名作。専門用語はちんぷんかんぷんだが、鑑定結果で二転三転する推理が面白い。個人的にはジョリ警部が好き。
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